朝鮮半島、緊張エスカレート

朝鮮半島の南北軍事境界線に近い非武装地帯(DMZ)の韓国側で朝鮮民主主義人民共和国が埋設したとされる地雷で韓国軍兵士2人が重傷を負った問題で、韓国国防省は10日、報復措置の一環として朝鮮に対する政治宣伝放送を11年ぶりに再開しました。これに対し、朝鮮が激しく反発するのは確実で、南北間の緊張が高まることは避けられない情勢です。

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DMZで巡回中の韓国軍兵士(写真:AP)

緊張がエスカレート

韓国国防省によりますと、南北境界線から440メートルほど韓国側に入った非武装地帯で4日朝、巡回中だった韓国軍兵士の足元で地雷が爆発しました。1人は片足、もう1人は両足を切断する重傷を負いました。この地雷について韓国政府と韓国駐在の国連軍司令部は10日、朝鮮が休戦協定を破って非武装地帯南側の韓国軍の巡回路上に埋めたものだったと断定しています。

韓国大統領府関係者は11日、「北朝鮮に謝罪と責任者の処罰を厳しく求める」と述べ、「北朝鮮軍が軍事境界線を不法に侵犯し、地雷を意図的に埋めた明白な(軍事)挑発だ」と非難しました。

事件からの影響

韓国軍関係者は11日、報復措置として北朝鮮に対する政治宣伝放送を再開したのに伴い、拡声器が設置された地域に最高レベルの警戒態勢を発令したと明らかにしました。この放送は、南北の関係改善を受けて10年以上前に中止されました。

韓国軍関係者は「北朝鮮による不意の挑発に応射できるよう火力を補強している」と強調しました。無人偵察機や対戦車ミサイルなどの装備も増やし、監視体制を強化しているもようです。

朝鮮のメディアは11日の時点でこの問題には言及していません。しかし、専門家は、放送の再開が朝鮮側の反発を招くのは必至だと指摘しています。朝鮮はかつて、韓国が非武装地帯に設置した巨大スピーカー群を破壊すると予告していました。

又、韓国政府は10日、朝鮮民主主義人民共和国が15日から標準時を30分遅らせると発表したことについて、南北の異質性がさらに深まる恐れがあるとして遺憾の意を表明しました。その上で、日本による植民地支配からの解放70周年と朝鮮半島分断70年を迎えるにあたり、相互の同質性と連携性の回復に向け努力する段階で、「北朝鮮側が一方的に標準時変更を発表したのは遺憾だ」と述べました。

南北対話への影響

韓国政府が故キム・デジュン元大統領夫人、イ・ヒホ氏が北朝鮮入りした5日、朝鮮に対し当局間対話を提案する書簡を送ったものの、朝鮮側が受け取りを拒否していました。統一部のチョン・ジュンヒ報道官が10日の定例会見で明らかにしました。

チョン報道官によりますと、「韓国政府は8月5日に統一部長官名義の書簡で、北朝鮮の統一戦線部長に南北高官級対話を実施し、南北間の相互関心事について包括的に協議するよう提案を試みましたが、北朝鮮が上部から指示を受けていないことを理由に10日朝まで韓国側の書簡自体を受領していないと遺憾の意を示しました。

今回の地雷事件を加えて、南北緊張の緩和に向けた南北対話はさらに難航することでしょう。

 

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