リスナー皆さんもご存知のように、欧州諸国は、内戦が続く中東などから欧州に難民が押し寄せている問題に直面しています。EU=欧州連合のユンケル欧州委員長は9日、欧州議会で演説し、難民12万人をEU各国が追加で分担し、義務的に受け入れ案を提示しましたが、これが、欧州諸国間の亀裂を引き起こしています。
ブダペストに集まっている難民(写真:infonet)
また、イスラム教過激派組織IS=イスラム国の戦闘員が難民として欧州諸国に侵入している情報もあります。これにより、欧州諸国は深刻な安全保障問題に直面するとの懸念が出ています。
テロ危機が増す
欧州諸国の当局によりますと、これまで、難民にまぎれて欧州に入り込んできたイスラム国の戦闘員の数は4000人に上る可能性があります。イラクとシリアで、ISが支配地域を急拡大しています。数ヶ月前、イラク中部ラマディ、シリア中部パルミラの2拠点を相次いで制圧しています。両国の首都にも近づきつつあります。
イラクでは政府の指導力への不信が再び高まり、IS掃討を目指すアメリカも対応の見直しを迫られています。こうした中、ISの戦闘員が欧州に侵入している情報は恐ろしいものと見られています。
欧州諸国間の亀裂
以上のように、EUのユンケル欧州委員長は9日、イタリア、ギリシャ、ハンガリーの12万人の難民を加盟国に割り当てる一方、難民の出身国が安全かどうかを見極め、早 期に送還するなどの「包括プラン」を発表しました。
今年6月に合意した2年間で4万人をイタリア、ギリシャから割り当てる案と合わせると、対象は16万人となります。 12万人分には受け入れ義務を課し、拒否すれば罰金にあたる財政貢献を求めます。
しかし、東欧諸国は義務化に消極的であり、実現するかどうか不透明な情勢です。これも大きな問題とみられています。
こうした中、難民の数は引き続き増えています。これにより、この問題はますますに解決しにくい問題となっています。今後、欧州諸国はどのような措置を取るかが焦点と見られています。