(写真:Bloomberg)
世界各国の政治や経済界のリーダーが一堂に会する、WEF=世界経済フォーラムの第46回年次総会「ダボス会議」が20日からスイスのダボスで始まりました。
「第4次産業革命」を全体テーマとしたことしのダボス会議には、およそ40か国の政府首脳や、2500人余りの経済界のリーダーらが参加しています。
主要な議題は経済
ことしは年明け以降、金融市場が混乱し、不透明感が強まる中国経済の動向や、原油をはじめとする資源価格の急落、それに、先月アメリカが踏み切った利上げがもたらす影響など、世界経済を占うさまざまな議論が予定されています。
今年のダボス会議に向けて発行される『グローバルリスク報告書』は中国経済成長率の減速に深い懸念を表明しました。中国統計総局によりますと、2015年の第1四半期の経済成長率は6.8%に止まり、これにより、2015年通年の経済成長率は6.9%で、過去25年ぶり最低となっています。その他、多くの国で失業率が高騰することや原油価格が下落することも懸念されています。また、先ごろ、国際支援団体のオックスファムが発表した研究報告書によりますと、世界の富豪上位62人が持つ資産が世界の人口の半数に当たる約35億人の貧困者の資産総額に等しいことが分かりました。世界の貧富の格差が深刻化しています。
気候変動への懸念
今年の世界経済フォーラムでは気候変動が主要議題の一つとして取り上げられています。気候変動への懸念がグローバルリスクの中でトップにたつのは今回が初めてです。昨年、大気中に含まれる人為起源二酸化炭素は安全基準を超えました。気候変動は各企業をはじめ、人類に多くの試練をもたらしています。
WEFの行動計画
世界が直面しているこれらの試練を前に、4日間にわたり行われている今回のWEF年次総会はこれらの試練を乗り越えるための対策を集中的に討議します。20日開かれた中国経済に関するセッションでは、アメリカのニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授が発言し、そのなかで、「原油価格の下落が供給側の前向きな動きで起きるのであれば、世界経済にとってプラスだが、今回の下落は、それだけでなく、中国経済や新興国経済の減速を背景にした需要への懸念によるもので、これは、世界経済にとって悪いことだ」と述べ、懸念を示しました。
一方、ドイツのガウク大統領は、去年の年末にドイツ西部の町で複数の女性が乱暴された事件の容疑者に多くの難民が含まれていたことについて、「女性の根本的な権利が脅かされるおそれがある」と述べて、難民による犯罪の罰則を強化することに言及しました。さらに、「責任ある統治を続けるため、流入する人々の制限を議論しなければならない」と述べたうえで、「制限を設けることは倫理に反することではなく、難民の社会への受け入れを確実なものにする」と指摘しました。