(VOVWORLD) - 国益に関連する多くの問題で不一致を見せているロシアとアメリカですが、反テロ戦などで、協力を緊密化させる意向にあるといえます。
既にお伝えしましたように、アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領は7日、ドイツのハンブルクで開催されたG20サミットの際に、初の首脳会談を行いました。米ロ首脳会談は、アメリカのオバマ前大統領とプーチン大統領の会合が行われた2015年9月以来のことで、冷却化した両国関係修復の兆しを示すものと見られています。
(写真:ロイター) |
トランプ大統領とプーチン大統領は、予定を大幅に上回る2時間15分にわたって、ウクライナや、シリア、テロリズム、サイバーセキュリティなどの問題について意見を交わしました。
双方間の隔たり
ロシアとアメリカの関係は、ロシアが去年のアメリカ大統領選にサイバー攻撃で介入したとされる疑惑や、ロシアによるクリミア半島の編入、シリア内戦などの問題で冷却化しています。今回の首脳会談はこうした背景の中で、行われました。
席上、トランプ大統領がロシアがサイバー攻撃などで去年のアメリカの大統領選挙に干渉したとされる問題について言及したのに対して、プーチン大統領は関与を否定しました。シリア問題に関し、これまで、ロシア側はアメリカ軍がシリアの空軍基地を巡航ミサイルで攻撃したことを強く非難しました。
また、アメリカがシリア政府が禁止されている化学兵器を使用したという告発をシリアに対する軍事的干渉のための手段として利用したとも批判しています。
柔軟な姿勢
国益に関連する多くの問題で不一致を見せているロシアとアメリカですが、反テロ戦などで、協力を緊密化させる意向にあるといえます。両首脳が内戦が続くシリアについて南西部の地域で現地時間9日正午からアサド政権と反政府勢力の停戦を実現すると合意したことはその証です。
米ロ関係の問題点は、ロシアが去年のアメリカ大統領選にサイバー攻撃で介入したとされる疑惑や、ロシアによるクリミア半島の編入、シリア内戦などです。
会談後、記者会見したアメリカのティラーソン国務長官は「両首脳はすぐに意気投合し、相性がよいのは明らかだった。両国は重要な関係でよいスタートを切った」と述べ、今回の会談を機に冷戦後最悪とも言われる両国関係の改善を模索していくことで一致したことを明らかにしました。
また、ロシアのラブロフ外相も、「会談はとても長く具体的だった。両首脳はそれぞれの国益のことを考えながら会談に臨んでいた」と述べました。ロシアとアメリカの高官らのこれらの発言は、双方が今回の会談の結果に満足していることを示すものといえます。
こうした中、アナリストらは、「アメリカ国内ではトランプ政権とロシアとの関係をめぐる疑惑の捜査が続き、関係改善への機運がしぼんでいるが、今回の首脳会談は何らかの成果を挙げて関係改善への動きをアピールしたいという双方の思惑が強くにじみ出たものとなった」との見方を示しています。