(VOVWORLD) - 米中の「休戦」は長くは続かないとの見方もあり、米中貿易戦争の終結へは長い道のりであると言えるでしょう。
激しさを増していた米中貿易戦争は、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が米中貿易交渉の再開について合意を達成したことにより、一時的な休戦となっています。しかし、両国の対立を根本的に解決しなければ、この休戦は終戦につながるとは思えません。
まだ終戦ではない
米中首脳戦争は約1年前に始まりました。これまで、アメリカは、すでに中国からの輸入品2500億ドル(約27兆円)分に25%の関税を課する一方、中国は、600億ドル分のアメリカからの輸入品に追加関税を課しています。また、G20大阪サミットを前に、トランプ大統領は、さらに第4弾の措置として3000億ドル相当の中国からの輸入品に追加関税をかける構えを見せていました。
しかし、G20大阪サミットと合わせて行われた米朝首脳会談で、トランプ大統領は、第4弾の措置を見送るとともに、中国の通信機器大手ファーウェイに適用しているいくつかの制裁を緩和すると発表しました。また、米中の首脳は、5月以降停止していた通商交渉を再開することで合意しました。
しかし、アメリカの高官は、「これは譲歩ではない。ファーウェイに対する制裁緩和は、ファーウェイが安全保障に影響を与えないアメリカ企業から製品を購入するのを認めることにどどまる」と述べました。そして、中国に対する第4弾の制裁措置を見送ることは、米中通商協議に便宜を図るだけで、単に一時的であるとの意見が多くの専門家から出されています。
米中貿易戦争の終結へは長い道のり
米中貿易戦争の一時休止により、世界経済には一定の安心感が広がっています。
しかし、米中首脳会談後、トランプ大統領は、ツイッターに「スピードよりも取り引きの内容がよいことがはるかに重要だ。私は急がない」と投稿し、米中通商交渉の決着を急がない考えを示し、これ以上、中国との関係を悪化させたくないという意図をにじませています。
一方、中国外務省の声明によりますと、習国家主席は会談で、中国企業を公平に扱うよう要請。国家主権や尊厳の問題として中国は中核的利益を守らなければならないと述べました。習氏は「中国は米国との交渉継続に真摯な姿勢だ。しかし交渉は対等で互いに敬意を示すべきだ」とトランプ氏に語ったということです。
中国は、米中貿易摩擦の解決には米国による制裁関税の完全撤廃、米商務省によるファーウェイのブラックリスト掲載を解除するのが前提だと要求しており、依然として、双方の主張の隔たりは大きいです。
そのため、米中の「休戦」は長くは続かないとの見方もあり、米中貿易戦争の終結へは長い道のりであると言えるでしょう。