(VOVWORLD) - トランプ大統領がツイッターで強硬な発言を繰り返す一方で、米政権幹部からは、柔軟姿勢を示唆する発言も出ています。
この数日、米中貿易摩擦は国際世論の注目を集めています。世界の2大経済大国であるアメリカと中国による貿易摩擦は両国の経済だけでなく、世界経済にも影響を与える恐れがありますが、貿易戦争になる可能性は低いと見られています。
報復 繰り返す
アメリカのトランプ政権は3日、知的財産などの侵害を理由に、追加関税を課す中国製品のリストを公表しました。対象となる輸入品は、電子機器や航空機部品、衛星、医薬品、機械など約1300品目、金額にして5兆円を超えます。中国からのこれらの輸入品は一律25%の関税を課されることになります。
これに対し、中国財政省は4日、大豆、自動車、化学製品、一部航空機、トウモロコシ製品など農産物を含むアメリカ製品106品目に対し、25%の追加関税を課すと発表しました。商務省が発表した声明によりますと、対象品目の2017年の輸入規模は500億ドルに相当します。これはアメリカが3日明らかにした対中関税の対象輸入品目と同じ規模です。発動日はアメリカの動向次第となっているとしています。
解決策は対話だ
中国側の迅速かつ強硬な対応を受け、世界の2大経済大国間の摩擦が拡大し、世界経済にも悪影響を及ぼす恐れが高まっています。中国の発表を受け、世界的に金融市場が動揺しています。アメリカ株価指数先物<ESc1>は1.5%安、アメリカ大豆先物<Sv1>は約5%安となっています。ドル相場は一時的に下げ幅を拡大したほか、オフショア人民元相場も下落しました。
米中の貿易摩擦に「強烈な不満」を表明したのは大豆業界です。アメリカの大豆輸出の6割を中国向けが占めるため、追加関税がアメリカ農家に甚大な影響をもたらすのは必至です。アメリカ大豆協会は声明で、アメリカ政府に対中貿易制裁の撤回を求めました。
トランプ大統領がツイッターで強硬な発言を繰り返す一方で、米政権幹部からは、柔軟姿勢を示唆する発言も出ています。
米株式市場でダウ工業株30種平均が一時500ドル超下げた4日午前、国家経済会議(NEC)のクドロー委員長はアメリカのFOXビジネステレビで「市場は過剰反応しないでほしい」と呼びかけました。今後数カ月の交渉を通じて最終的に関税発動を見送る可能性は「ある」と指摘しました。ロス商務長官も米CNBCテレビのインタビューで、「武力戦争でも最後は交渉で終わる」と強調しました。
中国の崔天凱・駐米大使は4日、アメリカとの貿易摩擦について、協議を通じた解決が望ましいが、それには互いの協力が必要だと指摘しました。
両国が貿易摩擦について協議する最初の機会としては、4月20日から22日にかけてワシントンで開催されるIMF=国際通貨基金と世界銀行の会合が考えられます。