(VOVWORLD) - 中国側は直ちに対抗する姿勢を打ち出し、このまま行けば、いったんは後退していた米中の「貿易戦争」突入への懸念が再び強まっています。
アメリカのトランプ大統領は18日、中国が発表済みの報復措置を実施すれば、同国からの2000億ドル(約22兆円)相当の輸入品に追加関税を適用すると警告しました。この動きにより、米中貿易摩擦がいつ終了するのかは不透明です。
(写真:AFP) |
米中貿易摩擦 エスカレート
1ヶ月ほど前の5月19日、アメリカと中国は、貿易摩擦をめぐる閣僚級協議に関する共同声明を発表し、アメリカの対中貿易赤字の大幅な削減に向け、中国が効果的な取り組みを進めていくことで一致しました。米中はまた、関税引き上げなどの措置を棚上げすることでも合意しました。
しかし、その1ヶ月後の6月15日、アメリカは、通商法301条に基づき、中国の知的財産権侵害を理由にした貿易制裁の対象とする品目の最終案を公表しました。25%の関税を課す中国製品は1102品目、総額500億ドル(約5兆5300億円)。7月6日から段階的に実施するとしました。
これに対し、中国側は直ちに対抗する姿勢を打ち出し、このまま行けば、いったんは後退していた米中の「貿易戦争」突入への懸念が再び強まっています。
中国の英字紙「チャイナ・デーリー」は、アメリカの追加関税について「最近の米中通商協議の中核精神に完全に反する措置であり、アメリカは危険な挑発をやめなければしっぺ返しを受けることになる」と警告しました。また、「一貫した態度をとってきた中国は対話を歓迎すると同時に、貿易戦争の脅しを恐れない」と強調しました。
影響は大きい
アメリカと中国は、世界の(GDP)国内総生産の約4割を占めています。2大経済大国による制裁と報復の応酬は市場や企業の不安を増大させ、世界の貿易や投資を滞らせる恐れがあります。貿易摩擦が長引けば、世界経済の成長を妨げ、アメリカと中国にも深刻な悪影響が及ぶのは確実です。
これまでアメリカと中国は協議を重ね、制裁回避の道を探ってきました。制裁の留保について合意した場面もありましたが、トランプ氏は、交渉の成果を一方的に反故にして、制裁に踏み切る考えを打ち出しました。そのため、米中両国がせっかく築かれつつあった信頼関係を回復し、建設的な通商交渉に努力するのは世界各国の希望です。