米中通商協議 大きな溝

(VOVWORLD) - 世界経済の大きな懸念材料になっている米中の貿易摩擦の解消をめざし、アメリカと中国の閣僚級の協議が、30日、ワシントンで始まりました。

中国側はアメリカ製品の輸入拡大や知的財産権保護の強化をアピールし、泥沼化する貿易戦争の収束を狙いますが、3月1日の交渉期限までにアメリカのトランプ政権と折り合えるかは予断を許さない状況です。

米中の閣僚協議は2018年6月初旬に開かれて以来、約8カ月ぶりです。交渉の責任者はアメリカがライトハイザー通商代表部(USTR)代表、中国側が劉鶴副首相です。交渉は31日に再開し、トランプ大統領が劉鶴副首相と同日会談する見通しです。

 激化する貿易戦争

アメリカのトランプ政権は中国に対し知的財産権の侵害など140項目以上の貿易慣行について是正を要求していて、今回の協議では中国経済の構造改革に向けた工程表を作り、違反した場合の罰則も設けるよう求めてゆく方針です。

トランプ政権は、中国国内で他国の政府機関や企業をハッキングし、強制的に技術移転させようとしていると中国を非難しています。こうした知的財産権や政府補助金などを巡る問題で合意が得られなければ、3月2日から2000億ドル相当の中国製品に対する関税が10%から25%に引き上げられる見通しです。

これに対し、中国が米国企業に技術移転を要求したり強制しているとの見方は否定し、あくまで米中企業間の商業的な取引だと主張しています。中国側は輸入の拡大と市場の開放に応じる一方、構造改革には慎重な姿勢を崩していませんが、先ごろ、外国企業に技術移転を強要することを禁止する法律の制定に着手しました。アメリカとの貿易戦争の早期終結を目指し、トランプ政権の要請に応じて知的財産権の保護を強化する構えです。3月5日に採択されるとみられるこの法律は外国企業の正常な経営に対して違法な干渉をしてはならないと定めるほか、撤退時に違法な条件を設けることも禁止します。

大きな溝

しかし、トランプ政権当局者や事情に詳しい他の関係者によりますと、重要項目で双方の主張にはなお隔たりが大きいです。また、アメリカ当局が中国の大手通信機器メーカー「ファーウェイ」を起訴した事件も協議の行方に影響を与えそうです。アメリカ側は口約束に終わらず確実に対応を実行する仕組みを求めていて、両国の主張はまだ隔たりが大きく、中国側がどれだけ譲歩するかが焦点になっています。

両日の交渉で現状を打開する合意が成立する可能性は低いとみられているものの、ホワイトハウスは中国の技術移転や知的財産権に関する慣行、アメリカ商品の購入拡大の公約といった中核的問題の進展に関する声明を協議終了時に公表するとしています。

両国ともに一定の進展があったと表明する可能性はありますが、懸案の構造問題でまたも行き詰まりが見えれば、3月までの合意にとってマイナスの材料と受け止められるでしょう。

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