7月30日、アメリカのケリー国務長官がインド訪問を開始しました。ニューデリーで同日、スワラジ外相と戦略対話を開催するほか、モディ首相とも会談するということです。5月のモディ新政権発足後、両国の閣僚級会談は初めてです。
アメリカはインドとの関係強化を目指しますが、両国間の関係が急速に深化する公算は小さいと評されています。
4年前、アメリカのアバマ大統領は、「米印関係が21世紀の最も強固なパートナーシップとなる可能性がある」との確信を表明しました。そして、今回のケリー長官のインド訪問は両国関係を新しい発展段階に押し上げることに寄与するものと期待されています。
共通の戦略的利益
ケリー長官のインド訪問の前に、アメリカ国防総省のエイミー・シーライト副次官補は、「インドがルック・イー スト政策をとり、アメリカがアジアへのリバランスを進める中、真の戦略的集中がみられると指摘し、「われわれは双方ともに今日の東アジアにおける挑戦に 目を向けており、その主要部分は間違いなく中国の台頭だ」と述べました。
さらに、経済、軍事協力も今回のケリー長官のインド訪問の重要な議題と見られています。経済協力に関して、現在、米印間の貿易額は約1000億ドルに達していますが、両国は今後その数字が5倍増加することを望んでいます。特に、インド側はアメリカからFDI=外国直接投資をさらに誘致していきたい意向を示したいます。
軍事協力に関して、インドは先ごろ、国防分野向けのFDIの上限を現在の26%から49%に調整することを決めました。ケリー長官の訪問に先立ち、24日、日本で、日本の海上自衛隊とアメリカ、インド両国の海軍が洋上で行う合同演習「マラバール14」が始まりました。
こうした中、ケリー長官とインドの指導者らとの会合で、双方は次世代のミサイルの共同開発についても話し合う予定です。
問題点
しかし、インドとアメリカの間には問題点がたくさん残っていると指摘されています。アメリカ政府は過去に宗教暴動の責任を問い、モディ氏に入国ビザ発給を拒否していた経緯もあります。
また、ニューヨークにあるインド総領事館の女性副総領事が昨年末、メイドの雇用をめぐる不正容疑で逮捕された事件も両国関係がぎくしゃくしていることに繋がっています。
そのほか、アメリカ家安全保障局がインド人民党をスパイしていたことも両国関係にマイナス影響を与えました。
こうした中、今回のケリー長官のインド訪問、および、9月に予定されているモディ首相のアメリカ公式訪問は米印関係の改善に寄与するものとなると期待されています。そして、これらの活動は、アメリカとインドが両国関係を改善・発展させたい意向があることを示すものと見られています。