米大統領選、TV討論で初対決

米大統領選の第1回テレビ討論会が26日夜(日本時間27日午前)行われ、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官と共和党候補のドナルド・トランプ氏が論戦を交わしました。3回にわたって行われるテレビ討論会は、有権者にとって両候補に対する支持・不支持の方針を再確認するもので、終盤の選挙戦に大きな影響を与えると見られています。

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米大統領選の第1回テレビ討論会

批判の応酬

討論会で、両氏は経済や安全保障政策をはじめ「大統領の資質」をめぐっても互いに批判の応酬を繰り広げました。トランプ氏はビジネス界での実績を自慢し、経済成長に向けて気前の良い約束を繰り返す一方、クリントン氏は具体的な政策提案と雇用対策を準備して臨みました。

冒頭のテーマは経済で、トランプ氏はクリントン氏の夫のビル・クリントン元大統領の政権時に署名され発効した(NAFTA)北米自由貿易協定を批判し、「世界で最悪の貿易協定だ」とした上で、クリントン氏に対し、「あなたは、今度はTPP環太平洋経済連携協定に署名したいと言っているが、NAFTAと同じくらい良くないだろう」と述べました。クリントン氏は昨年、条件付きでTPPへの反応を表明しています。

一方、クリントン氏は冒頭からアメリカの成長に向けた政策案を列挙しました。インフラ支出やクリーンエネルギーへの投資、最低賃金の引き上げ、教育への支援、富裕層が納める税金を財源とすることなどを提案しました。

また、賃金格差が広がるアメリカの現状を問われ、最初に答えたクリントン氏は「私は富裕層のためではなく、中間層の家庭を助ける政策を進める」と最低賃金の引き上げを約束しました。さらにトランプ氏の経済政策をやり玉にあげ「あなたの政策では借金が増える」と批判しました。

安全保障を巡っては、クリントン氏は、トランプ氏が日本や韓国の核保有を容認する発言をしたとし、超党派の方針である核不拡散政策に反し、「深刻な問題だ」と指摘しました。トランプ氏は、核兵器の問題は重大な問題だとの認識を示したうえで、アメリカは日本や韓国、ドイツなど同盟国を守っているにもかかわらず、同盟国はその経費を十分支払わないという持論を展開しました。

優位に立つクリントン氏

長年政治に携わり、初の女性大統領を目指すクリントン氏と、政治経験がなく、その過激な言動で既成政治への不満を追い風にしてきたトランプ氏という異色の対決で、全米が注目しました。討論会の勝者を聞いたアメリカのCNNの緊急世論調査では、クリントン氏が62%、トランプ氏が27%で、クリントン氏が「勝利」しました。

第1回となる今回のテレビ討論会は、過去最多の全米1億人強が見守った模様です。アメリカのNBCテレビなどの世論調査では、有権者の34%がテレビ討論が投票先を決める上で「重要」と回答しています。そのため、第2回と第3回討論会は大統領選の結果を左右することができると見られています。


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