(VOVWORLD) - 韓国政府は17日、軍事境界線付近での緊張緩和のための軍事当局者会談を21日に板門店で実施することを朝鮮民主主義人民共和国に提案しました。また南北離散家族再会事業開催のための赤十字会談を8月1日に開催することも呼びかけました。この提案が朝鮮半島の緊張緩和に役立つのかが注目されています。
文在寅(ムンジェイン)大統領が6日、ベルリンでの演説で朝鮮民主主義人民共和国に対話を呼び掛けて以降、韓国側が具体的な会談を求めたのは初めてで、文政権は対話の働き掛けを本格化させました。
ソジュソク次官 |
緊張緩和を目指す
韓国国防省の徐柱錫(ソジュソク)次官が発表した声明によりますと、南北間の「軍事的緊張」を高める「敵対行為」の停止に向け、南北軍事境界線上に位置する板門店の北朝鮮側にある施設「統一閣」で今月21日、双方の国防当局者による会談を開く案を提示しました。また、韓国政府は今月すでに、朝鮮戦争の休戦記念日に当たる27日までには軍事境界線付近の敵対行為をすべて停止することを提案していたとしています。
相互で停止する挑発行為の内容については韓国国防省は「北の反応を見ながら検討する」として明らかにしませんでしたが、朴槿恵(パククネ)前政権が2016年1月に再開した軍事境界線付近での軍事宣伝放送の停止が含まれているとみられます。
離散家族の再会事業は2015年10月に1年8カ月ぶりに実施されて以降、行われていません。韓国政府当局者によりますと、事業の準備には2カ月かかります。故盧武鉉(ノムヒョン)元大統領政権での南北首脳共同宣言から10周年となる10月4日に合わせて開催するためには、今月末までに事業の実施で合意する必要があるということです。
関係各側の反応
韓国政府の提案について、朝鮮民主主義人民共和国は18日時点で、提案への反応を示していませんが、韓国のムン大統領のベルリンでの演説については朝鮮労働党機関紙の労働新聞が15日、「寝言のような詭弁(きべん)だ」と非難する一方、その上で、ムン大統領が2000年と2007年の南北首脳会談での共同宣言の尊重、履行に言及したことについては「前任者らと異なる立場が込められたのは幸いだ」と評価しました。また、「(関係改善の)第一歩は必ず解決が必要な根本問題から始めなければならない」と報じていましす。
一方、ホワイトハウスのスパイサー報道官は「北朝鮮と対話する状況にない」と強い不快感を示し、「トランプ大統領は過去に対話に必要な条件を明確にしているが、今の段階ははるかに遠い」と述べました。それに対し、中国は韓国の提案を歓迎しています。陸慷・外務省報道局長は定例会見で「南北が現在の行き詰まりを打開し、対話・協議の再開に向けた環境を整えるため懸命に取り組むことを望む」と述べました。そして、日本の菅官房長官は、韓国の提案について、「先の日米韓3か国の首脳会談で確認した北朝鮮に対する圧力を強化していく方針とは矛盾せず問題ない」という認識を示しました。
朝鮮半島の緊張情勢がエスカレートしている背景の中で、緊張緩和を目指すいかなる措置は地域の平和と安定に寄与するもので、歓迎すべきものでしょう。