(VOVWORLD) -EU=欧州連合で天然ガス価格が再び高騰しています。
(写真:AFP/TTXVN) |
供給を依存するロシアからの輸入が途絶えるのではないかとの懸念が背景にあり、26日の取引で過去最高値を記録しました。需要期の冬を控えて備蓄を急ぐ各国には重荷となります。
金融情報会社リフィニティブによりますと、欧州でガス価格の指標となるオランダTTFは26日、1メガワット時当たり一時343ユーロ(約4万7千円)を付けました。ロシアとのウクライナの軍事衝突開始から間もない3月7日に記録した最高値の335ユーロを更新しました。45ユーロ近辺で推移していた1年前の7倍を上回る高水準です。
ドイツ、フランス、イタリアの電気料金は1年前まで、年間契約価格が1メガワット時(MWh)当たり50ユーロ前後で推移していました。しかし、その後は頻繁に同150ユーロを超えるようになり、昨年12月には300ユーロ超まで跳ね上がりました。
また、EUとイギリスの昨年の発電量が3100テラワット時(TWh)だったことを踏まえると、例えば、1MWh当たり100ユーロの超過利潤税を課した場合の税収は理論上、年間3000億ユーロを上回りそうです。
EUの輪番議長国であるチェコの政府当局者は先週、エネルギー価格高騰に対処するため、EUエネルギー担当相による緊急会合を可能な限り早期に開催することを提案すると表明しました。チェコは定例のエネルギー相会合を10月に予定しています。緊急会合の詳細は現時点で分かっていません。産業貿易省は取材に応じませんでした。チェコのフィアラ首相はエネルギー価格の上限設定に向けた取り組みが必要だとした上で、対策は欧州レベルで実施しなければならないと指摘しました。
エネルギー危機が世界中で物価高騰を招いている背景の中で、イタリアのドラギ首相は24日、企業や家計に対する物価上昇の負担を軽減するため、EU諸国はロシアから輸入するガス価格の上限設定について合意すべきだと述べました。リミニで開催された会議で「イタリア政府は、輸入するロシア産ガスの価格に上限を設けるよう欧州レベルで強く求めてきた」と指摘しました。「ロシア政府による供給停止を恐れ、一部の国がこの案に反対し続けているが、今夏にロシア産ガスの供給が何度も停止されたことで、そのような姿勢には限界があることが明らかになった」としました。
天然ガス価格高騰が続けば、ヨーロッパ各国の記録的なインフレが悪化するおそれがあります。これは緊急対応策を必要とすると評されています。