(VOVWORLD) -先週、23日、イタリア・ナポリで20カ国・地域(G20)気候・エネルギー相会合が開かれました。
地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき取り組みを加速する点では一致したものの、気温上昇の抑制に関する数値目標や、石炭など化石燃料からの段階的な脱却といった項目で合意に至りませんでした。先進国と一部新興国の溝が埋まらなかったためで、10月にローマで開かれるG20首脳会合に持ち越されます。
イタリアのチンゴラーニ環境相は、「23日に開かれたG20気候・エネルギー相会合で、石炭火力発電の段階的な廃止やパリ協定で定められた『世界的な気温上昇を1.5─2度に抑制する』との文言について合意を達成しなかった」と発表しました。
また、記者団に対し、「中国、ロシア、インドとの交渉が特に難航している」と明かし、「今後は10月にローマで開催されるG20首脳会議での協議が必要になる」と述べました。石炭火力発電の廃止を巡っては、大半の国が2025年までの達成を望みましたが、一部の国からは不可能だとの声が挙がったといいます。
今回のG20気候・エネルギー相会合で合意に至らなかったことで、11月にスコットランドのグラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で何らかの有意義な合意が得られるとの期待が後退しました。
G20はG7に中国やインド、ロシアといった新興国などが加わり、温暖化ガスの排出量で世界の約8割を占めています。世界の気候変動対策が成功するにはG20の協調が欠かせませんが、新興国は石炭火力への依存度が高く、踏み込んだ合意に至るのに難しい状況が改めて浮き彫りになりました。COP26に向けて、削減目標引き上げや温暖化による環境変化への適応策、途上国を支援する資金拠出などをめぐって交渉が続きます。G20は野心的でバランスの取れた内容で合意できるように協調することを確認しました。