(VOVWORLD) -中東のイラクで、大規模な反政府デモが続き、混乱が広がる中、11月29日、アブドルマハディ首相は、声明で辞意を表明しました。
イラクでは、高い失業率や汚職などへの不満を背景とした大規模な反政府デモが先月はじめから首都バグダッドや中南部の都市で相次いでいて、治安部隊との衝突などでこれまでに420人以上が死亡、約1万5000人が負傷しました。デモはバグダッドや南部のシーア派が多数を占める地域で発生し、当初は失業や政府の汚職、基本的なサービスの欠如をめぐる抗議が中心でした。しかし、政府による取り締まりで死者が出たことを受け、現在は政権の退陣や国連の監督下での早期選挙実施を求める声に発展していました。
劣悪な公共サービス、失業、政府にまん延する汚職をきっかけに起きた一連のデモはここ数十年のイラクでは最大規模となっていました。デモでは治安部隊の弾圧により、イラク政治に影響力が大きい隣国イランにもデモ隊の怒りが向けられ、11月27日には中部ナジャフのイランの総領事館が放火されました。
12月1日、イラクの国会は、デモの拡大を受けて辞意を表明していたアブドルマハディ首相の辞任を承認しました。サレハ大統領は後任の首相候補を指名しますが、各政党の協議は難航が予想され新政権の発足には時間がかかる見通しです。そして、今後、さらに政治的な混乱が広がるおそれもあります。