スエズ運河座礁、グローバルサプライチェーンへの影響
(VOVWORLD) - スエズ運河で大型コンテナ船が座礁した事故で、物流停滞への懸念が強まっています。復旧のめどは立っておらず、船体が運河をふさいだ状態が長期化する可能性が出てきました。
先月23日、エジプトのスエズ運河では、愛媛県の正栄汽船が所有し、台湾の会社が運航する大型コンテナ船が座礁して運河が塞がれ、6日後の29日にコンテナ船の離礁に成功し、運河の通航が再開されました。
スエズ運河は、地中海側のポートサイドと紅海側のスエズを結ぶエジプトの人工海面水路です。欧州とインド間を航行する場合にアフリカを経由しないため、航行距離を約7000キロメートル短縮できます。2019年の航行実績では、年間1万8880隻、1日あたり51.7隻が航行している交通の要所です。
スエズ運河で大型コンテナ船が座礁した事故で、物流停滞への懸念が強まっています。復旧のめどは立っておらず、船体が運河をふさいだ状態が長期化する可能性が出てきました。新型コロナウイルス流行の影響で生じた世界的なコンテナ不足に拍車を掛ける恐れもあります。
スエズ運河は、アジアと欧州を結ぶ海上輸送の要衝です。世界全体のコンテナ輸送のうち、アジア―欧州間は1割を占めるとしています。そのほぼ全てがスエズ運河経由とみられます。
世界経済という視点で、影響が危ぶまれているのはスエズ運河を定期運航する船舶に積まれた1日当たり約100億ドル(約1兆1000億円)相当の商品や資材、消費財で、サプライチェーンを巡る懸念は主にアジアの輸出業者と欧州の輸入業者に対するものです。経済全般のコストはスエズ運河がふさがれた状態の継続で日々増えていますが、18兆ドルに上る世界の年間貿易額との比較ではまだ小さいです。
また、スエズ運河の通行不能は1週間ごとに世界の貿易の伸びを0.2ー0.4ポイント押し下げる恐れがあります。ただ座礁事故の前でも年初来のサプライチェーンの混乱で貿易の伸びは1.4ポイント抑えられていた可能性があり、その直接の影響は約2300億ドル相当ということです。