バングラデシュ暫定政権 治安の安定化最優先

(VOVWORLD) - バングラデシュで学生のデモ隊と警察が激しく衝突し、ハシナ首相が辞任に追い込まれてから12日で1週間でした。
バングラデシュでは先月以降、公務員採用の優遇枠に反発する学生のデモが各地で広がって警察との衝突で300人以上が死亡するなか、強権的な政治を行ってきたハシナ首相が今月5日、辞任に追い込まれました。首都ダッカでは11日も数百人の学生がデモを続けていました。

こうした中、8日、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏率いる暫定政権が発足しました。ハシナ首相の辞任と国外逃亡につながった抗議デモによる混乱から国を立て直す意向を示しました。

ユヌス氏は暫定政権の首席顧問として、国の安定回復と新たな議会選挙実施に取り組むとしています。就任後の国民向け演説で「残忍な独裁政権は終わった」と表明しました。「政党に関係なく、民主主義、正義、人権、恐れのない表現の完全な自由が全ての人に与えられる。それがわれわれの目標だ」と述べました。

暫定政権は、総選挙実施で正式政権が発足するまで政府を運営するとしています。ユヌス氏は「無政府状態は敵であり、すぐに打倒されなければならない」と述べ、「不正行為に関与した者は裁きを受ける」と強調しました。

8日、暫定政権について米国務省のミラー報道官は「バングラデシュ国民の民主的な未来を描くことを望む」と歓迎しました。ミラー氏は5日、「暴力行為、法律違反行為の責任者は当然説明責任があるはずだ」と、ハシナ政権による取り締まりで多数の市民が死亡したことを暗に批判していました。アメリカはそもそも、ハシナ氏の強権性に批判的でした。

また、インドのモディ首相は8日、バングラデシュについて、X(旧ツイッター)に「通常の状態への早期回復に加え、ヒンズー教徒とあらゆる少数派共同体の安全および保護確保を望む」と投稿しました。ヒンズー教徒は既に暴力に遭っており、今後、イスラム過激組織が活発化すれば、インドの治安にも影響しかねないことに懸念を強めているのは確実です。

現地では、大規模な暴動などはおさまっていますが、一部の地域では、ハシナ政権の与党関係者が所有する建物が放火されたり、少数派のヒンドゥー教の寺院が壊されたりしていて、治安が不安定な状況が続いています。今後、暫定政権のもとで新たに選挙が実施される予定で、対立を続けてきた与野党の分断を修復し、広く国民の理解を得ながら民主的な政治体制を構築できるかが焦点となります。

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