ロシア産原油の上限価格設定を巡る問題

(VOVWORLD) -先週、G7=主要7か国とオーストラリアは、ロシア産原油の国際的な取り引きの上限価格を1バレル60ドルに設定するなどとした新たな制裁措置について合意したと発表しました。
EU=ヨーロッパ連合の加盟国と足並みをそろえウクライナ侵攻を続けるロシアの資金源を抑えこむねらいです。

アメリカ政府の発表によりますと、G7とオーストラリアはロシアから海上輸送される原油について今月5日から国際的な取り引きの上限価格を1バレル60ドルに設定する新たな制裁措置について合意しました。また、60ドルを超える取り引きにはG7に拠点を置く金融機関による海上保険や金融サービスを禁止するとしています。

これに先立ち、EUの加盟国も同じ上限価格で合意していて足並みをそろえた制裁措置でウクライナへの軍事衝突を続けるロシアの資金源を抑えこむねらいです。交渉を主導してきたアメリカのイエレン財務長官は「ロシア経済は縮小し財政も厳しさを増しているため最も重要な収入源に直ちに切り込むことができる」とのコメントを出しました。

アメリカ政府は、この制裁措置によりロシア産原油の輸入を続ける新興国などが価格低下の恩恵を受けるとしています。ただ、G7などこの枠組みに参加する国々はロシア産の原油の輸入を段階的に禁止することをすでに決めています。3日、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ロシアの国営通信社に対して「われわれは上限設定を容認しない」と述べ、受け入れられないという考えを示し、速やかに分析を進めた上で今後の対応を決めると明らかにしました。

今回の制裁について、エコノミストらは「画一的にロシア産の石油を差し止めるのとは違い、欧米諸国など以外の消費国にとってもロシア産の石油を購入しにくくなるというのが今回の制裁の特徴だ。価格の上限設定は、石油の供給の制限をしたり、しなかったりできる柔軟性も確保していて、多角的に検討されているという印象だ」と分析しました。

一方、制裁の効果については、ロシア産の原油は今回設定された上限価格を下回って取り引きされている状況もあるとして「直ちにロシア産の原油の取り引きに制限がかかる状況ではないが、今後、暖房需要が高まるなどして、原油価格が上昇する局面では効果が出てくる可能性がある」と指摘しています。

さらに、原油市場への影響については「今回の価格の上限設定によって原油価格の変動がさらに大きくなる可能性もある」と述べ、制裁の効果を担保しつつ、原油価格の乱高下を抑える上限価格を柔軟に見直していくことも必要だという考えを示しています。

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