(VOVWORLD) - オーストラリア議会は8日、同国の州政府や大学などが外国政府と結ぶ協定が国益を損なうと判断すれば、外相が拒否権を発動できるとした法案を可決しました。中国を念頭にした措置で、豪中関係の険悪化につながりそうです。
(写真:AFP/TTXVN) |
議会が8日可決した新法により、外相は外国政府と豪州の州政府などがすでに調印している取り決めを無効にしたり、新たな合意を止めたりする権限を持つことになります。オーストラリア政府が阻止もしくは規模を縮小できるのは、インフラや貿易協力、観光、文化協力、科学、健康、大学の研究提携を含めた教育など広範囲に及びます。
メルボルンを州都とするビクトリア州の政府は中国の習近平国家主席の肝いりプロジェクトである一帯一路に参画する取り決めを2018年に交わしており、この合意が早期に取り消される公算が大きいです。モリソン首相によれば、新法の影響を受ける可能性があるのは州政府などが30カ国と結んだ少なくとも130の取り決めでした。
また新法の下で、オーストラリアの大学と中国政府が支援する団体との間で結ばれた提携関係も破棄の対象となり得ます。豪紙オーストラリアンは今年4月、大学における中国の影響力や、研究助成金の見返りが絡む知的財産権を巡る取り決めに学術界が署名するプログラムに対する懸念が情報機関関係者の間で高まっていると報じていました。
これに先立つ7日、中国は、オーストラリアの食肉会社メラミスト社からの牛肉輸入を停止したと明らかにしました。停止の理由は不明です。今年に入り牛肉輸入が停止となったオーストラリアの企業はこれで6社目となりました。オーストラリアは、新型コロナウイルスに関する中国の情報開示の透明性に疑問を呈し、ウイルスの発生源の調査を求めており、それ以降、両国関係は急激に悪化しています。
長年にわたり、オーストラリアと中国の関係は良好でした。オーストラリアにとって、中国は貿易全体の3割を占める最大経済パートナーです。両国は多くの相違点が残っているものの、双方の互恵関係により、両国間でビジネスの貿易需要を促進させてゆくとしています。 これは、2014年以来双方が構築してきた戦略的パートナーシップの重要な基盤となっています。
しかし、現在、オーストラリアと中国の貿易関係は深刻に悪化しています。世論は、両国が一日も早く、関係改善を目指し適切な措置をとることを期待しています。