(VOVWORLD) - 2020年3月19日から2021年2月28日までの1年間で、アジア系アメリカ人をターゲットにした差別的な事件は少なくとも3795件ありました。
(写真:ロイター) |
新型コロナウィルス感染症が複雑に推移している背景の中で、多くの国で、アジア系住民に対する差別が高まっており、深い懸念を引き起こしています。アントニオ・グテーレス国連事務総長は国際社会に対し、新型コロナによって引き起こされた「津波のような憎悪と外国人嫌悪」を阻止するために力を合わせるよう呼びかけました。
パンデミックの発生以来、アメリカで人種差別の事例が益々増えています。流行のせいで仕事を失っていた多くの白人アメリカ人は移民が彼らの仕事を奪ったと信じています。それは移民に対する差別につながるということです。
1月28日、サンフランシスコで、散歩中の84歳のタイ人男性が19歳の男に押し倒され、路上に頭を打ちつけ、2日後病院で死亡しました。また、3月9日には、オークランドで、散歩中の75歳のアジア系男性が殴られて脳死状態に陥り、その後亡くなりました。男性は窃盗被害にもありました。この1年間、アジア系アメリカ人は、パンデミックを生き抜くだけでなく、新型コロナウイルスをめぐり、言葉や暴力による人種差別にも直面しています。
「Stop AAPI Hate」は、コロナ禍におけるアメリカのアジア系、または太平洋諸島系住民に対する差別の撲滅を掲げる団体です。同団体が出した報告書によりますと、2020年3月19日から2021年2月28日までの1年間で、アジア系アメリカ人をターゲットにした差別的な事件は少なくとも3795件ありました。この報告書で、今年の件数を過去の年と比べることはできませんが、他のデータによりますと、明らかに件数は増えていることがわかります。
グテレス国連事務総長は、その危機にに終止符を打つため「全力で取り組む」よう訴えました。また、アメリカのジョー・バイデン大統領は、アジア系市民が複数死亡する連続銃撃事件のあったジョージア州アトランタを訪れ、人種差別的な言動を前に「沈黙するのは加担するのと一緒だ」と、人種差別や憎悪(ヘイト)行動を非難するようアメリカ市民に呼びかけかけました。また連邦議会には、憎悪犯罪対策法案の可決を強く促しました。
さらに、バイデン氏はホワイトハウスで行った演説でも、パンデミックの中でアジア系市民が「スケープゴートにされ」攻撃されていると批判し、憎悪犯罪(ヘイト・クライム)をやめさせなくてはならないと呼びかけました。