(VOVWORLD) -先週、自民党の岸田文雄総裁は、衆参両院本会議の首相指名投票で日本の第100代首相に選ばれました。岸田新首相の選出後、新たな閣僚名簿が発表されました。
岸田新首相(写真:ロイター) |
その後、岸田新首相は、就任後初めての所信表明演説を行いました。冒頭、岸田首相は「新型コロナとの闘いは続いている。この国難を国民と共に乗り越え、新しい時代を切り開き、心豊かな日本を次の世代に引き継ぐために、全身全霊をささげる覚悟だ」と述べました。
そのうえで、信頼と共感を得られる政治が必要だとして、すべての閣僚が国民と車座の対話を重ね、国民のニーズに合った行政を進めているか徹底的に点検する考えを示しました。
そして、新型コロナへの対応について、経口治療薬の年内の実用化を目指し、電子的なワクチン接種証明の積極活用などに取り組むとともに、司令塔機能の強化や、医療資源を確保するための法改正などを進める考えを示しました。また、大きな影響を受ける事業者に対し、地域や業種を限定せず、規模に応じた給付金を支給する方針を明らかにしました。
一方、経済政策について「新自由主義的な政策は、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだといった弊害が指摘されている。成長の果実をしっかりと分配することで、初めて次の成長が実現する」と述べ「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに「新しい資本主義」を実現すると強調しました。
このうち成長戦略では、先端科学技術の研究開発に大胆に投資を行う一方、分配戦略では、賃上げを行う企業に対する税制支援を抜本的に強化するなどとしています。
外交・安全保障では「自由で開かれたインド太平洋」を力強く推進するほか、外交・防衛の基本方針となる「国家安全保障戦略」などの改定に取り組むとしています。
最後に、岸田首相は「早く行きたければ1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」というアフリカのことわざを紹介し「分断を乗り越え、コロナとの闘いの先に、新しい時代を切り開いていかなければならない。国民と共に手を取り合い、あすへの一歩を踏み出す」と結びました。
岸田首相は、第二次世界大戦以来、日本が前例のない試練に直面している背景の中で就任しました。これは岸田首相の指導能力の試金石となると言えることでしょう。