EUの未解決問題

(VOVWORLD) - EU首脳は7月、7500億ユーロ規模の復興基金案で合意しました。新型コロナウイルスで傷ついた経済の回復を後押しする目的で、被害の大きい地域に資金を供給するために設けられます。

EU=欧州連合は先週、テレビ会議方式で首脳会議を開き、難航する復興基金案について議論しました。基金からの資金分配ルールについて、自らに不利になりかねない主張するハンガリーなど東欧諸国が納得せず、加盟国は協議を続けることで一致しました。

復興基金は2021年から稼働する予定です。12月上旬にも合意できなければ、21年初めから基金の運用が難しくなり、欧州の景気回復が遅れる可能性があります。

EU首脳は7月、7500億ユーロ規模の復興基金案で合意しました。新型コロナウイルスで傷ついた経済の回復を後押しする目的で、被害の大きい地域に資金を供給するために設けられます。だが、基金からの資金分配を巡っては、権力の乱用を法で縛る「法の支配」の順守を条件とする動きにハンガリーとポーランドが反対しました。

首脳会議でも両国は法の支配の問題が解決しない限り、基金案全体に同意しないとの立場を表明したようです。EUのミシェル大統領は首脳会議後の記者会見で「基金の必要性では皆が一致しており、残っているのは法の支配の問題だけだ」と述べました。

また、ハンガリーやポーランドでは政権がメディア支配を強めたり、司法制度の独立性を脅かしたりする動きがあり、EUの西側諸国は懸念を深めています。EU議長国ドイツのメルケル首相は「解決せねばならない深刻な問題だ」と、早期に打開策を見いだしたいとの意向を示しました。閣僚級や事務レベルでの調整を急いでいます。

復興基金の承認にはEU首脳や欧州議会での採択のほか、各加盟国の議会承認も必要で、妥結点を見いだすのは容易ではないとみられます。経済専門家によりますと、EU議員らは、1兆8000億ユーロ(約224兆円)規模の予算及び、復興基金7500億ユーロがすぐに支払われますが、EU加盟諸国がまだ予算について多くの意見の相違を持っている背景の中で、来年のEU地域内経済成長の展望を楽観視していないとしています。

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