(VOVWORLD) - ホーチミン市に本部を置くイーストシー資源貿易有限会社の社長を務めるライ・ ヴァン・ ヒエップさんは、高品質の木炭の研究、生産、日本市場への輸出の先駆者として知られています。日本の技術で生産された同社の「京ビン」というブランドの木炭は、品質とサービスの両面において日本木炭協会から信頼を得ています。
ライ・ ヴァン・ ヒエップさん |
1988年生まれヒエップさんは、栃木県にある宇都宮大学で林業専攻を選択したベトナム人初の留学生です。長年日本に暮らした後、彼は日本での木炭の需要が大きいことに気づきました。質の高いベトナム商品を作って日本に輸出したいと常に切望していたヒエップさんは、木炭に関するビジネスを絶好のチャンスだと考えました。そのため、2015年、木炭の生産と輸出を専門とするイーストシー資源貿易有限会社の設立を決定しました。ヒエップさんの話です。
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「当初、日本の顧客はユーカリから作られたベトナム産白炭を高く評価していました。しかし、原料の安定供給が課題となりました。製造工場を建設するために工場の原料となるユーカリの木の供給源を見つけるために全国各地を回りました。当時、ベトナムでは正確な統計データがなく、データがあってもユーカリの木とメラルーカの木が混同されていました。そのため、4年かけてゲアン省、チャビン省、ロンアン省、ビンディン省、ビントゥアン省に5つの工場を建設しました。市場においてブランドの足場を築く場合、2 つの要件が必要です。1 つは製品の品質、もう 1 つはビジネスの運営方法とリーダーの考え方です」
ヒエップさんの会社が使用する原材料は主にユーカリの木です。ユーカリは、環境に優しい再生可能エネルギーのグループに属し、二酸化炭素排出量の削減に貢献する樹木です。彼は日本市場を開拓するために自社の木炭だけでなく、国内の同業界企業から最高品質のサンプルも集めて、日本へ持って行きました。最初の商談から、日本企業はベトナムの木炭の品質に驚きました。直ちに、日本企業8社からなる代表団がベトナムの工場を訪れ、木炭の製造プロセスを調査しました。これは、木炭製造分野における最初の協力のチャンスとなりました。
「良い行いの代表者」交流会に参加したヒエップさん(右) |
ヒエップさんは、ベトナム企業が木炭の製造と品質向上に協力し、日本市場に進出するために、国内の木炭製造企業約40社にベトナム木炭協会の設立を呼びかけました。これまで中南部ビントゥアン省の木炭工場は、原料の量を確保し、木炭の品質を満たせるようになりました。現在、この工場には 100 人の従業員がいます。年間の生産量は白炭2000トン、黒炭1300トンに達しています。ヒエップさんの話です。
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「5 年分の原料調達は難しくありません。10 年分は少し難しいですが、企業が 10 年、20 年、またそれ以上生産できるようにするには、特に植林の分野で生産を安定させることが大きな課題です。それができれば、大きな企業へと発展するはずです。設立されてから7年が経った現在、イーストシー資源貿易有限会社は国内市場でも輸出業者としてもトップのブランドとなりました。弊社はユーカリの木炭の製造分野でナンバーワンですが、目標は、世界一の木炭生産会社になることです」
ヒエップさんは日本市場に進出するとすぐに、小売店やスーパーマーケットを通じての消費チャンネルを拡大しようとしました。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが発生すると、サプライチェーンが寸断され、市場から撤退する企業が相次ぎましたが、これはヒエップさんの企業にとってビジネスチャンスでした。イーストシー資源貿易有限会社のマーケティング担当者マイ・チャン・ホアンさんは次のように語りました。
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「新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生中、人々は自宅で食事をするだけでなく、宅食サービスを利用するニーズも高まりました。そのため、当社の木炭輸出量は維持されただけでなく、大幅に増加しました。これにより、新型コロナ禍においても当社は新しい従業員を雇い、従業員数は20%増加し、給与も増えました。現在、ヒエップ社長はオーストラリア、マレーシア、アメリカなどの新たな市場にもアプローチしています」
現在、ヒエップさんの木炭は日本市場に深く進出しており、海外の複数の新しい市場へのアプローチにも成功しています。ヒエップさんは、国内の企業はもちろん、ラオスの企業も日本のような高い品質を要求される市場に進出できるよう、自らの経験を喜んで共有したいとしています。ヒエップさんの努力により、近い将来、環境に優しいベトナム産の木炭が世界の多くの国に輸出されるでしょう。