旧正月テトの風俗習慣

(VOVWORLD) - 伝統的な旧正月テトはベトナムの人々にとって最も重要な行事です。今年のテトの元日は2月12日ですから、今日のハノイ便りはテト前の最後の番組となります。そのため、今日のハノイ便りはテトの幾つかの風俗習慣についてご紹介しましょう。

多くのベトナム人にとってテトは元日ではなく、旧暦の12月23日から始まります。この日はテトの風俗習慣が始まる日なんです。

旧暦12月23日が「オンコン・オンタオの日(Ngay ong Cong ong Tao)と呼ばれ、わかりやすく言うと「かまどの神様の日(吐君節)」となっています。「オンコン・オンタオ」は、女神と男神二人の三人で一組のかまどの神様です。その日、ベトナムの各家族はかまどの神様に、伝統的お供え行事を行います。家庭内の事情を良く知るかまどの神は、一家の1年の善悪を報告するため鯉に乗って天に昇ると信じられているので、人々は神が無事に天に昇れるよう、川や湖に鯉を放流して、紙で作った鯉を燃やしたりします。かまどの神様を祀る儀式は、家族の幸せと平穏な生活を祈願することの現われです。

また、旧暦12月23日から30日までは、先祖のお墓参りをしてお墓のお手入れをする習慣もあります。これは祖先崇拝という信仰の現われで、ご先祖様の恩恵を思う意識を子や孫に教えるためです。

旧正月テトの風俗習慣 - ảnh 1バインチュンをつくっているハノイ郊外の市民

テトに欠かせない料理としてベトナム風のチマキ「バインチュン」があります。そのため、バインチュンを作り、先祖の祭壇に供養する習慣はテトの重要な風俗習慣の一つです。

伝説によりますと、ベトナムの最初の国家とされるバンランという国の第6代フン王(雄王)には、20人の息子がいました。王は跡継ぎを選ぶために、息子達に世界中から珍しくて美味しい食べ物を探してくるよう命じました。王子たちは遠い所まで食べ物を探しに行きましたが、18 番目の王子だけは、夢に見た神様のお告げ通り、大地を表す四角いバインチュンと、天を表す丸いバインザイを作って、王に奉納したんです。それ以来、バインチュンと、バインザイはご先祖に捧げる神聖な供え物となり、ベトナム民族の美意識を示すとともに、旧正月テトの欠かせない料理となったのです。

ハノイ市民の一人ディン・タイン・トゥさんは次のように話しました。

(テープ)

「テトが近づくたびに、子どもたちはバインチュンをつくることを楽しみにします。これは家族団らんのチャンスでもあります。家族全員が一緒にバインチュンを作る風景はいつもベトナム人の記憶に残っています。その記憶は伝統を守る意識を芽生えさせていると思います。新年にバインチュンを食べると、多くの幸運が訪れるという考えも多くの人々が持っています。」

旧正月テトの風俗習慣 - ảnh 2テトに欠かせない桃の花

また、旧正月テトに欠かせないもう一つの風俗習慣は家に花を飾ることです。テトには富める者も貧しき者を問わず、どの家でも花があります。花はそれぞれの家族に春と幸運、繁栄をもたらすからです。北部では、テトに絶対欠かせないのが桃の花ですが、南部では、黄色い梅の花です。北部ナムディン省にある花園のオーナーチャン・フィ・コンさんは次のように話しました。

(テープ)

「テトに花を飾ることは「花を遊ぶ」と呼ばれ、その中で、花の香を第一に、花の美しさを第二にしています。これはベトナム文化と密接につながります。ベトナム人の考えでは、花は天と地との結晶で、素晴らしい香りと美しさを人間に与えるからです。その意味で、花は人間の幸せと希望の現われです。」

ベトナムならではのお正月の風俗習慣として、長さ5 ~6m にもおよぶ竹を玄関先に植えるという習慣があります。「ケイネウ(Cay Neu)」と呼ばれるこの竹の先には縁起物を付け、旧 暦12月23日から1月7日まで飾っておきます。悪魔を祓うとして 故事から生まれた風習で、 近年縮小しつつあるものの、今でもなお各所で行われています。伝統文化の研究者チャン・ドアン・ラム博士は次のように語りました。

(テープ)

「ベトナムの各村では、古くからケイネウを植える習慣があります。ケイネウは宇宙の現われで、天と地のエネルギーを招くためです。また、ケイネウは先祖を子孫と一緒にテトを楽しむよう招くためでもあります。ケイネウの先には、悪魔と不運を追い払って幸運を迎えるという効果があるとされるサボテンやパイナップルの葉が付けられます。また、地方によって違いますが、コインや爆竹、風鈴、呪文などもあります。」

そして、テトにはテトの祭壇への供え物として大きな皿の上に、五色の果物を美しく並べて飾る習慣や、知識が高い儒学者や書道家の家に行き、対句などの文字を頂いて家に飾る習慣があります。それ以外、日本のお正月と同じ初詣やお年玉などの習慣もあります。これらの習慣は今もなお、大切に保たれています。

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