現代生活の影響で多くの若者たちが、世界から伝わるファッションや技術、芸能などが好きですが、ベトナムの伝統的な文化に夢中になっている若者もいます。その中には、伝統衣装の復元に取り組んでいる若者が増えているようです。彼らの努力により、伝統衣装は徐々に日常生活の中で再び生きています。

グエン・ドック・ロックさん

伝統衣装の復元に取り組んでいる若者の中で最も有名なのは1990年代に生まれたグエン・ドック・ロックさんです。彼は、幼い頃から、伝統文化と歴史に興味を持っていて、学校では歴史が得意でした。また、テーラーだった母方の祖父は彼にこの仕事への興味を芽生えさせました。ロックさんは少年時代から、自分の衣服を仕立てることができました。彼は社会人になったあと映画のカメラマンとして仕事をしていましたが、依然として歴史と衣服への興味を持ち続けています。

こうしたロックさんは5年前に、伝統的な衣装に接触するチャンスがあったことをきっかけに、伝統的な衣装の復元の研究と開発に転職することにしました。彼は、古代衣装の復元に着手する前に、著名な学者や画家の意見を参考にしながら、いろいろな歴史的資料などを研究しました。また、伝統的な織物や刺繍製品を作る村を訪れて、織物などの生産工程や特徴を調べました。ロックさんは次のように語りました。

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「他の民族と区別する最初の要素はまず衣服です。ベトナム人の衣服は、数千年の歴史があって、その特徴を誇っています。伝統文化に興味を持つ私は微力ながらも、伝統的な衣装の復元と開発に貢献したいと思います。」

彼が社長を務める会社「イ・バン・ヒエン」社は、数百年前にベトナム人が着用していた衣服の研究と復元を行っています。かつてのベトナム人が着用していた衣装は、宮廷衣装から、兵士の軍服、庶民の普段着にいたるまで様々な種類があります。さらに、それぞれの衣装には、履物、装飾品、マフラーなどの付属品がありました。これまでに、「イ・バン・ヒエン」社は、庶民の普段着のほか、宮廷で使われる衣装の多くも復元しました。これらの衣装は、祭りや舞台、映画に用いられています。

イ・バン・ヒエン社が復元した宮廷衣装「ニャットビン」

ロックさんによりますと、宮廷衣装の復元は最も難しいです。宮廷衣装は布地や模様に関する多くの規定があるからです。残念なのに、これらの決まりは十分に残されていないとしています。これまで、ロックさんの会社は、ベトナムの最後の王朝グエン王朝時代によく着用されたものに似た衣服を作ったことがあります。これらの装束は宮廷の儀式に着用されたもので、多くの好評を受けています。

「イ・バン・ヒエン」社は、伝統的な衣装の重要性を人々に認識させるため、多くのセミナーやショーを行っています。ロックさんのような人の努力により、伝統的な衣装に興味を持つ若者が増えつつあります。ロックさんの話を聞いてみましょう。

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「現在、伝統的な衣装の復元がはやっており、多くの活動や商品を通じて社会に影響を与えていると思います。これにより、若者を始め、多くの人がその時代の着衣に大きな関心を寄せるようになりました。」

チャン・ティ・チャンさんとグエン・ティ・キエウ・リンさんも、歴史に興味を持つことから、時代の衣装の復元と開発に従事することにしました。彼女たちは最初は、自分のために伝統的な衣装を作りましたが、友達や家族の応援を得ながらこの仕事に全力を尽くすことにしました。チャンさんとリンさんの話です。

（テープ）

「中国では、伝統的な衣装の開発が進んでいるそうですが、ベトナムでは、やる人がいなかったので、この衣装を着たい私たちはなかなか手に入れなかったです。そのため、私たちは調べてやってみました。多くの人の応援は私たちにとって大きな励ましとなっています。」

「2018年の旧正月テトに「ニャットビン」という伝統的な衣装を着たいと思って、やってもらうことにしました。しかし、1着を注文すれば、かなりお金がかかるので、21着を注文して、フェイスブックで20着を売りました。すぐ売れましたよ。多くの人が自分の同じ興味を持っていることがわかりました。これは、伝統的な衣装の復元と開発に関するビジネスのきっかけとなりました。」

旧正月テトや結婚式などで伝統的な衣装を着る動きが広がっており、若者だけでなく、年を取った人も喜んで着ています。

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「このような美しい伝統的衣装をテトや祝日、国と家族の重要な日に着たいと思います。着ると心地よくなって、何となく新鮮な気分になります。」

「伝統的衣装は重要な日に着るだけでなく、日常生活でも着れるようになってその応用性が高まると期待しています。」

ロックさんやチャンさん、リンさんのような若いデザイナーの努力により、数百年前の伝統的な衣装が再び生き返っており、ベトナムの伝統文化の保存と発展に貢献しています。