イノベーション促進・ベトナム人の知恵の活用

(VOVWORLD) -ベトナムの党、国家、省庁は、イノベーション、ならびにイノベーションによるスタートアップをサポートする様々な活動を展開しています。これにより、何人もの青年がスタートアップを成功させました。

ベトナム東北部トゥエンクアン省ソンズオン県に暮らすブイ・バン・ホアンさんは、ベトナム北部、ラオス、およびカンボジアに自生しているナス科の植物「カ・ガイ・レオ(ca gai leo)」の栽培・加工でスタートアップをしました。この植物は、肝機能を改善する効果がある貴重な漢方薬として利用されています。ホアンさんは、トゥエンクアン省若手実業家協会による資金調達のサポートで、2020年に、「カ・ガイ・レオ」のティーバックを生産するホップホア生産加工サービス共同組合を設立しました。当時、新型コロナウイルス感染症が流行しており、ソーシャルネットワークや電子商取引を利用して、製品をPR、販売していました。現在、「カ・ガイ・レオ」のティーバックは、4つ星のOCOP一村一品製品の基準を満たしています。

ホアンさんの話をお聞きください。

(テープ)

「生産と販売にデジタル技術を導入したり、ショッピー、ティキ、ティックトック、フェイスブックなどの電子商取引プラットフォームを利用して、製品を販売しています」

イノベーション促進・ベトナム人の知恵の活用 - ảnh 1自社のチョコレートを紹介しているフィさん(左)(「Nhân dân」紙)

一方、南部ティエンザン省に暮らすグエン・ホン・フィさんは、地元の特産物であるカカオからチョコレートを作るスタートアップをしました。彼は、Socola Hallelu有限会社を設立し、同社の取締役社長を務めています。

(テープ)

「多くの企業が新型コロナウイルスにより影響を受けましたが、弊社は事業を続け、現在大量の製品を欧州諸国に輸出しています。今後は、欧州、日本にさらに輸出できるよう、生産規模を拡大する計画です」

近年、ベトナムにおけるスタートアップエコシステムを推進するための法律や政策が徐々に完備されています。また、青年のスタートアップは主にベトナム青年連合会から資金をサポートされています。 2022年、ベトナムのスタートアップ企業への投資総額は20億ドルに達しています。

イノベーション促進・ベトナム人の知恵の活用 - ảnh 2ビン元会長(nld.com.vn)

スタートアップエコシステムはベトナムで着実伸びているだけでなく、多くのベトナム人が在留している国でも力強く発展しています。多くのベトナム人留学生、青年が学習・就労しているオーストラリアはその一例です。

オーストラリアにおけるベトナムの青年、学生のスタートアップ活動についてオーストラリア駐在ベトナム学生協会のグエン・フック・ビン元会長は次のように明らかにしました。

(テープ)

「オーストラリアには、シドニーとメルボルンの2大中心地があります。オーストラリアにいるベトナム人青年、留学生の8割がこれらの中心地に集中しています。この2大都市では、スタートアップ運動が盛んに展開されています。例えば、国家イノベーション・スタートアップフェスト「テックフェスト・ベトナム2021年」では 、オーストラリアへの元留学生は最優秀賞を獲得しました」

BambuUP=イノベーションプラットフォームが発表した2022年のベトナムイノベーションエコシステムに関するレポートによりますと、現在、ベトナムでは、約3,800のスタートアップ企業が活動しています。評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業(ユニコーン企業)が4社(VNGVNLifeMomoSky Mavis)あるほか、ユニコーン企業に近い状態へと発展している多くのスタートアップ企業があります。例えば、ティキ、エコノミー・デリバリー、トゥラスティング・ソーシャル、カイバー・ネットワーク、ファスト・デリバリーなどです。200あまりのベンチャーキャピタルファンドが活動しており、ベトナムでのスタートアップ企業に投資を行っています。

「第4次産業革命の科学技術の進歩を迅速かつ適切に活用しないことや、イノベーション、デジタルトランスフォーメーションの推進を積極的に進めない場合、ベトナムが2045年までに高所得国になるという目標は達成できないでしょう」。これは、国内外の多くの専門家の見解です。

2022年10月末に行われた国際規模のイノベーションに関するイベントで、グエン・チ・ズン計画投資大臣は、「マクロレベルでは、経済全体の目標は非常に大きい。それらは、7年後の2030年までに、ベトナムは、近代的工業と上位中所得レベルを備えた発展途上国でなければならない。23年後の2045年までに、ベトナムは近代的工業と高所得の先進国になる。全ての国、特にベトナムにとって科学技術とイノベーションの役割は極めて重要だ」と強調しました。

イノベーション促進・ベトナム人の知恵の活用 - ảnh 3ズン大臣(「Thanh Tra」紙)

ズン大臣は次のように語りました。

(テープ)

「ベトナムは、過去35年間のドイモイ刷新事業において複数の成果を収めましたが、多くの課題にも直面しています。それらの課題をどのように解決するのか?ベトナムは唯一の道、唯一のチャンスを取り上げました。それは、第4次産業革命を活用するということです。このことは、第13回党大会決議や、社会経済開発10カ年戦略、または、第4次産業革命への主体的な対応に関する党政治局の決議52号などによって強調されています。この目標を実現するために、国会、政府は具体的な戦略や行動計画などの策定に集中してきました」

計画投資省は実践の要求に応えるために、関連省庁と連携してイノベーションの促進を目指す政策・法律を制定するとともに、イノベーション促進戦略や具体的なプロジェクトを提案しました。NIC国家イノベーションセンターを設立したことはその取り組みの一つです。同センターの本部がハノイ郊外のホアラックハイテクパークにある面積35ヘクタールの敷地に建設中で2023年3月に完成する予定です。投資総額3200万米ドルのこのセンターはイノベーション促進に大きな弾みをつけると期待されています。

しかし、イノベーション促進を目指す取り組みにおいて一翼を担っているのは企業です。実際、この分野に携わるベトナム企業の多くはイノベーション促進を大きなチャンスと見なしています。

ベトナムのIT最大手FPTのチュオン・ザ・ビン取締役会長は次のように語りました。

(テープ)

「私は、国内外のグループで働いている若者を含む全てのベトナムの若者に対し、イノベーション促進にさらに力を入れていくよう呼びかけたいと思います。FPTはデジタルトランスフォーメーションやハイテク開発が当社を発展させる唯一の道と見なしており、その中で、イノベーションは当社の持続可能な開発の基盤です。そのため、FPTは、世界のベンチャーキャピタルファンドとのやりとりや市場開拓などの面で、イノベーションプロジェクトをできる限り支援する用意があります」

ベトナム最大の通信事業者「ベトテルグループ」もイノベーションを促進し、コア技術を開発する方針です。同グループは、社員一人一人のイノベーションは会社のイノベーションを左右するものであるとし、社員のイノベーションを奨励しています。

同グループのタオ・ドゥク・タン取締役会長は次のように語りました。

(テープ)

「イノベーションは大したものではありません。むしろ、一人一人が日々よりよい仕事ができるようにアイデアを出すということです。ベトナムのデジタル社会構築の先頭に立つグループとしてベトテルは企業の開発に必要なエコシステムを構築しており、その中で、第4・第5世代移動通信システム用のインフラや、クラウド、IoTモノのインターネット用のプラットフォームを作っています。当社が開発した技術は自動車産業や環境、交通、水資源管理など多くの分野に応用されており、デジタル社会の構築に貢献しています」

国の奨励政策と企業の多大な努力はベトナムのイノベーション促進にとって強固な土台となっており、近年のイノベーションの著しい発展を促しています。

イノベーション促進・ベトナム人の知恵の活用 - ảnh 4Rafael Frankel博士(「Dân sinh」紙)

世界最大のソーシャルネットワーク「フェイスブック」の運営会社「メタ・プラットフォームズ」の南アジアと東南アジア担当のRafael Frankel博士は次のように語りました。

(テープ)

「過去20年以上、何回も出張でベトナムを訪れました。ベトナム人の勤勉さと創造性、政府の大きな補助、企業の多大な努力により、デジタルエコシステムが誕生し、益々発展しています。第4次産業革命のメリットを活用してデジタルトランスフォーメーションを進めるというベトナム政府の視野は素晴らしいと思います。弊社は、58万人の学生、および6万4千社の中小企業を対象とするデジタル育成プロジェクトを通じてベトナムのデジタルトランスフォーメーションを積極的に支援しています。これからも、ベトナムのイノベーションとデジタル経済が益々発展するように支援し続けます」

  国内外のリソースを最大限に活用することで、ベトナムはイノベーションの大きな波に乗ることができるでしょう。

ご感想

他の情報