2022年、ベトナムとオーストリアが外交関係樹立50周年を迎える中でトゥオン国家主席のオーストリア訪問は両国関係の深化や協力潜在力の活用に弾みをつけると期待されています。

トゥオン国家主席のオーストリア訪問は欧州歴訪の幕開けとなりました。また、これはトゥオン氏の国家主席就任以来、初めてのオーストリア訪問となっています。

在オーストリアベトナム大使館のグエン・チュン・キエン大使

1972年、オーストリアは欧州諸国の中でベトナムと外交関係を結ぶ初めての国の一つとなりました。それ以来、両国は政治から貿易・投資、文化・教育など全ての分野で協力関係を強化しています。在オーストリアベトナム大使館のグエン・チュン・キエン大使は次のように語りました。

（テープ）

「ベトナムとオーストリア共和国の友好関係は際立ったものです。オーストリアはパリ和平協定が調印される前、スウェーデンに次いでベトナムとの外交関係を樹立しました。現在、オーストリアは欧州でベトナムの第一の貿易相手国です。両国の貿易額はおよそ40億ドルを突破したことがあります。両国の協力は教育訓練や文化などにも拡大されています」

政治分野についてベトナムとオーストリアは各レベルの代表団の往来や会見などを維持しています。2021年9月、ファム・ミン・チン首相はオーストリアのセバスティアン・クルツ首相と電話会談を行ったほか、ブオン・ディン・フエ国会議長は同年9月、オーストリアで行われた世界議会議長会議に参加し、ブイ・タイン・ソン外相は2022年9月、オーストリアを、2023年4月、オーストリアのアレクサンダー・シャレンバーグ外相はベトナムを公式訪問しました。両国は国連やASEAN・EUの戦略的パートナーシップの枠組み、ASEM＝アジア欧州会合などで常に連携しています。

経済分野についてベトナムとオーストリアは緊密なパートナーシップを結んでいます。ベトナムはEVFTA＝ベトナム・欧州連合自由貿易協定をはじめ、15件の自由貿易協定に加盟していることを受け、オーストリアは2019年、ホーチミン市に経済代表事務所を開設し、ベトナムとの貿易を促進することが狙いです。

現在、オーストリアはベトナムの輸出先上位10か国に入っている一方、ベトナムはオーストリアにとってASEANでの最大の貿易相手国となっています。昨年、両国の貿易総額はおよそ28億ドル、今年初めからの4か月は10億ドルを超えました。

ベトナムはオーストリアをはじめ、EUにとって魅力的な市場となっています。5月現在、オーストリアはベトナムに1億4800万ドル相当の41件の投資プロジェクトを行っており、ベトナムに投資を行っている143の国と地域の中で44位に立っています。

そのほか、ベトナムとオーストリアは様々な文化や草の根外交活動を促進しています。ベトナム国立音楽院、およびハノイ舞台映画大学はオーストリアのグラーツ音楽舞台芸術大学と緊密な関係を結んでいます。

昨年、両国の外交関係樹立50周年にあたり、両国で様々な文化交流活動が行われました。オーストリアに在留しているベトナム人およそ6千人は両国の協力関係の促進に貢献する懸け橋としての役割を果たしています。

経済をはじめ、あらゆる分野での関係を深化

在ベトナムオーストリア大使館のハンス・ペーター・グランツァー大使によりますと、トゥオン国家主席のオーストリア訪問は両国関係の緊密化に寄与し、協力を強化するチャンスとなるとしています。一方、在オーストリアベトナム大使館のグエン・チュン・キエン大使はトゥオン国家主席の訪問がオーストリアとの二国間、および多国間協力の促進に役立つとの見解を述べ、次のように語りました。

（テープ）

「これはベトナムとオーストリアとの協力を促進するための重要なチャンスとなります。オーストリアは欧州でのベトナムの重要な貿易相手国であり、国連の多くの事務所が設置された世界で3番目に大きな多国間協力中心地として知られています。今回の訪問でトゥオン国家主席は国連の各機関の代表と会合を行う予定です」

トゥオン国家主席の訪問は国防・安全保障、電子商取引、気候変動対応、インフラ整備、再生可能なエネルギー、労働者訓練、スマートアグリカルチャー、廃棄物処理などを中心に両国の多面的な協力関係の強化を目指すものです。

また、オーストリアを通じて、ほかのEU加盟国にベトナム・EUの投資保護協定の早期批准を働きかけることが狙いです。

両国のあらゆる分野での協力の余地が大きいことから、トゥオン国家主席のオーストリア公式訪問により、両国関係において新たな発展段階が切り開かれることを約束されています。