枯葉剤被害者のためのウォーキング （写真：「労働社会」紙）

8月10日はベトナムの枯葉剤被害者の日です。62年前の1961年8月１０日に、アメリカ軍はベトナムにおいて化学戦争をはじめました。1961年から1971年までの10年間に、アメリカ軍は南ベトナムの自然の土地の4分の1の面積、306万ヘクタールの各地に約8000万リットルの有毒化学物質を散布しましたが、その中で枯葉剤、つまりエージェント・オレンジはその61％を占めました。

枯葉剤の後遺症の克服は長期的かつ差し迫った課題

枯葉剤はベトナムの人々と環境に大きな被害をもたらしました。複数の生態系が枯葉剤により破壊され、なかなか回復することが出来ません。ベトナム人の多くの世代は枯葉剤の影響で肉体的にも精神的にも悩んでいます。ベトナム政府は、人々と環境に対する枯葉剤の後遺症の克服を長期的かつ差し迫った課題と位置づけています。ベトナムの枯葉剤被害者は、毎月補助金をもらい、医療保険に加入し、リハビリ、診療治療が無料で受けられます。

そのほか、全国各地の枯葉剤被害者協会は、あらゆるリソースを活用して、枯葉剤被害者に対し住宅改修、リハビリ、職業訓練、車椅子の贈呈を行ってきました。現在、全国には、枯葉剤の影響による身体の不自由な数千人の子どもを介護する12の施設があります。

去る8月1日、ハノイで行われた枯葉剤被害者のための行動月間の発動式で発言に立った中央大衆工作委員会のブイ・ティ・ミン・ホアイ委員長は次のように語りました。

（テープ）

「これまで、党と国家は常に枯葉剤による被害の克服作業に関心を寄せ、適切な支援政策をとるとともに、被害者の健康ケアやリハビリなどに巨額を拠出してきました。ベトナム祖国戦線中央委員会が発動した枯葉剤被害者のための行動運動は、人民各層の支援を得て、国内外に住んでいるベトナム人、および外国人の関心を集め、枯葉剤被害者の安定した生活、社会統合に貢献しています」

国際的な友人からの支援

枯葉剤後遺症の克服に取り組んでいる中、ベトナムは国際的な友人から支持、支援を受けました。2009年10月にシリアのダマスカスで開催された世界平和評議会執行委員会会議は、毎年10月8日をベトナムの枯葉剤被害者の日と定めました。2004年～2009年期に、国際民主法律家協会は、ベトナム戦争中にアメリカ軍が散布した有毒化学物質を提供していたアメリカの化学製薬会社37社を相手取って裁く裁判所を開きました。UNDP=国連開発計画は、中部ビンディン省のフーカット空港でのダイオキシン汚染除去作業に補助金を提供するとともに、ベトナムに、ダイオキシン分析室の整備を行いました。そして、複数の外国の組織、個人もベトナムを訪れ、枯葉剤被害者用サウナとダイオキシンの解毒訓練コースを実施しました。

毒性学の専門家であるマーク・アントニー・カストロ氏は次のように語っています。

（テープ）

「私たちは、ベトナム枯葉剤被害者協会社会保護センターの医療従事者に基準を満たしたサウナの運営方法を教えました。そうすることにより、医療従事者は、それぞれの枯葉剤被害者の状態によって相応しく効果的な治療方法を適用することが出来ます」

他方、これまでに、アメリカ政府はベトナムの関連機関と連携して、中部ダナン空港でのダイオキシン解毒プロジェクトを完了させ、ビエンホア空港にあるおよそ3万平方メートルの土地においてダイオキシン解毒を行ったほか、枯葉剤被害者を含む身体の不自由な人々への支援プロジェクトを実施してきました。

現在、ベトナムにはおよそ500万人もの枯葉剤被害者がいます。国内各地の行政府、コミュニティ、および国際的な友人からの支援活動は彼らの物心両面での生活の改善に貢献しています。