(VOVWORLD) -今なお、多くの少数民族は様々な理由で公用語のベトナム語が出来ません。そこで、少数民族居住地では、公用語のベトナム語の非識字者を解消する教室が度々行われています。
ベトナムでは、54の民族が暮らしています。総人口の約86%を占めるのがキン族で、少数民族は53あります。ベトナムの公用語として使われているベトナム語はキン族の言葉です。それぞれの少数民族はまた独特の言葉を持っています。
リンさんにある非識字者解消教室の様子 |
少数民族の人たちは、ほとんどが公用語のベトナム語と自分たちの言語の2つを使っています。そして、近隣に住む他の少数民族の言葉ができる人も少なくありません。しかし、今なお、多くの少数民族は様々な理由で公用語のベトナム語が出来ません。そこで、少数民族居住地では、公用語のベトナム語の非識字者を解消する教室が度々行われています。北部カオバン省クアンホア県コックトアン村ルンサップ集落の非識字者解消教室はその一例です。この教室は、毎週月曜日から木曜日まで実施されています。
ルンサップ集落に住むフン・バン・リンさんの家は、非識字者解消教室に活用されています。リンさんが小さい頃、家族は生活に困窮していたため、就学することができませんでした。そこで、公用語のベトナム語を勉強したいと思うリンさんは、 現地の行政当局が、非識字者解消教室の場所を探していることを知ると、自分の家を薦めたのです。
リンさんの話です。
(テープ)
「小さい時は、家族の生活が貧しく苦労していて、学校に通えませんでした。村の行政当局が非識字者解消活動を行うことを知り、とても喜びました。現在、自分の名前はもちろんですが、多くの単語を書けるようになりましたよ」
一方、貧しい家庭で生まれたマイさんは、幼い頃から雇われて働いたため、25歳になった現在も文字の読み書きが出来ませんでした。そこで、現地で非識字者解消教室ができることを知ると、就学することにしました。遠いところに通い、仕事をしていますが、授業がある日には、彼はいつものように教室に早く来ます。彼は、教室の中で最も真面目な生徒の一人です。
マイさんは次のように語りました。
(テープ)
「私のような非識字者向けの教室を行ってくれたことを嬉しく思っています。授業で、先生たちは、文字の読み書きを熱心に教えてくれました。そのお陰で、現在、私は文字の読み書きができるようになりましたよ」
ルンサップ集落には少数民族モン族の12世帯が住んでいます。2022年末に、クアンホア県の公安は行政当局、関連機関、団体と連携して、非識字者解消教室を開講しました。公安、宣伝教育担当者は交代で教壇に立ちます。
クアンホア県公安局のブー・チャン・チン少佐は次のように明らかにしました。
(テープ)
「非識字者解消教室の試験的開講を行うため、私たちは、それぞれの住民の家に赴いて、文字の読み書きができない人に働きかけました。教室に参加してきたこのような人がすべて文字の読み書きができ、知識を高めるよう期待しています」
クアンホア県宣伝教育委員会のグエン・ダイ・タン副委員長は、教壇に立つ人です。タン氏によりますと、この教室は決まった方法もありません。学習の内容は生徒たちの需要、能力に合わせて、適切な知識を伝えます。また、現時点で、生徒たちは基本的に文字の読み書きができるようになっています。
タンさんは次のように語りました。
(テープ)
「当初、生徒さんは、文字に馴染みがなく、読み書きが全くできなかったため、教えるのは大変でした。私たちは、生徒さんに公用語のベトナム語を、生徒さんは私たちにモン族の言語を教えました。生徒たちの学習意欲を高く評価します。家での仕事が多忙であっても欠かさず学校へ通い、休まない人もいますし、大雨のため、教室に通うことができない人は補講を受けた人もいました」
非識字者解消教室に黒板などの教材を運ぶ |
クアンホア県公安局のベー・チュオン・ザン中尉は、毎日、バイクでおよそ3km離れた非識字者解消教室に行くと述べ、次のように語りました。
(テープ)
「ルンサップ集落の非識字者解消教室の教壇に立つことを名誉に思っています。少数民族の人々がさらに多くの文字を読み書きでき、より多くの知識を身につけられるようになったことは、私たちが非識字者解消教室を維持する動機づけになっています」
非識字者解消教室に参加したお陰で、現地住民は公用語のベトナム語の文字を読み書きできるほか、先進科学技術を農業や畜産に応用することもできました。これらのことは、地元の貧困解消に寄与しています。