スマートフォンのアプリを活用して観光情報を検索している観光客

現在、ベトナム観光は、スマートツーリズムと情報技術の導入を含むデジタルトランスフォーメーションの促進を競争力を向上させる重要な戦略の一つと見なしています。スマートツーリズムの開発に必要なプラットフォームの構築に携わる会社「トラベルナー」の創始者レ・フン・アイン氏によりますと、観光客の観光に関する情報検索において、その収集方法が大きく変わっており、これは、観光業にとって試練でありながらも、大きなチャンスでもあるとしています。アイン氏は次のように語りました。

（テープ）

「情報技術の導入は非常に重要な意義を持っています。現在、ほとんどのお客さんはホテルの予約や航空券の購入に、スマートフォンのアプリを使っているからです。これはめったに訪れないチャンスだと思います」

昨年の11月に始まった外国人観光客の試験的受け入れプログラムに参加した5つの地方の一つであるクアンナム省は新型コロナにおいて観光客を誘致するために、情報技術の導入を優先課題と見なしていました。中でも、クアンナム省のホイアン市は世界遺産であるホイアン旧市街全体での無料Wifiの設置や、SNSソーシャルネットワークでの観光PR、ホイアン旧市街の電子入場券の販売など情報技術の導入を力強く進めています。ホーチミン市から来たチュオン・ティ・ダム・ニュンさんは、スマートフォンのアプリを活用するだけで、ホイアン旧市街で素晴らしい体験を楽しむことができたと述べ、次のように話しました。

（テープ）

「ホイアンでは、観光客はアプリを使うだけで、素晴らしいサービスを受けられます。アプリにより、正しい情報を迅速に入手でき、旅がより便利になりましたよ」

ホイアン旧市街が４月１日から電子入場券販を販売

ホイアン旧市街とミーソン遺跡がユネスコ国連教育科学文化機関により世界遺産として認定されて以来、クアンナム省は観光を先端的経済部門と見なし、観光開発に多大な労力を注ぎました。これにより、クアンナム省は国内外の観光客にとって魅力的な目的地となりました。現在、観光が回復している背景の中で、第4次産業革命のメリットを活用してクアンナム省の観光を一段と発展させることは同省の重要な任務となっています。

クアンナム省は2021年から2025年期の観光のデジタルトランスフォーメーション計画を立案しました。これによりますと、2023年までに、ツアーガイドや、旅行会社、観光サービス業者、宿泊施設、観光スポットなどに関するデータをデジタル化させるとしています。そして、2025年までに、スマートツーリズムに対応するインフラの整備や、観光に関するデータの頻繁な更新、VRバーチャル・リアリティ（仮想現実）という技術による観光地図の完備、VR360 度動画による観光スポットの紹介などという課題が取り上げられています。

新型コロナの影響で、約2年間活動を停止していた観光業はようやく回復軌道に乗り、社会経済の回復と開発に貢献しています。2022年に入り、観光業は国内外の観光客を誘致するために引き続き努力をしていますが、デジタルトランスフォーメーションを観光業の飛躍的な発展のカギと見なしています。今年の3月にクアンナム省ホイアン市で行われた「国家観光年2022」の開幕式で、ファム・ミン・チン首相は、ベトナムを安全、親切で魅力的な旅の目的地にするという目標を打ち出し、実現には観光業のデジタルトランスフォーメーションが非常に重要であると述べ、次のように語りました。

（テープ）

「試練をチャンスにするためには新しい考えと方法が必要です。新型コロナは完全に抑制されておらず、観光活動の安全性が特に求められている中で、観光に科学技術を導入することは世界の必至の取り組みとなっています。そのため、ベトナム観光のこれからのキーワードは「協力・発展・緑化・デジタル化・親切な接続」ということです」

クアンナム省ではこれまで、観光業に携わる企業の約9割が活動を再開しています。観光客を引き付けるためのイベントやプログラムが頻繁に行われ、クアンナム省の観光業は著しい回復を見せています。この6か月間、クアンナム省を訪れた国内外の観光客は150万人を超えており、前年同期の4.8倍にもなっています。クアンナム省はデジタルトランスフォーメーションの重要性を認識しており、今後も観光業をはじめ、社会経済のデジタルトランスフォーメーションをさらに促進させ、2030年までにデジタルトランスフォーメーションにおいて全国各地の中でトップに立つという目標を実現できるでしょう。