ソエタイはベトナム西北部山岳地帯のディエンビエン省・ライチャウ省・ソンラ省・イエンバイ省に暮らす少数民族タイ族の伝統舞踊です。これらの地方に住むタイ族の人々にとって、ソエタイはご飯や飲料水のように日常生活に欠かせない一部となっています。

タイ族の言語で“スエ”(Xoe) は踊るという意味です。この踊りは祭りや日常生活、労働などにおけるタイ族の人々の所作を模して生まれたものです。ユネスコ＝国連教育科学文化機関はタイ族のスエを無形文化遺産に認定した際、「ソエタイはタイ族の世界観や宇宙観を反映しており、旧正月テトや祭り、慶事などの機会に演じられる。

また、年齢や性別、社会的地位、職業、民族などの区別がなく、全ての人に開かれている」と評価しました。現在、高齢者だけでなく、若者たちもソエタイの維持、保存に力を入れています。

（現場の音）

お聴きいただいたのはソエタイの公演での音楽でした。タイ族の人々はこのメロディーに乗せて、ソエタイを踊ります。北部山岳地帯イエンバイ省ギアロ町には、200もの民芸班があり、これらのメンバーのほとんどは女性で、ソエタイが大好きです。ギアアン町の文芸班のメンバーの一人ルオン・テイ・ミンさんは次のように語りました。

（テープ）

「他の民舞と同じように、ソエタイを上手く踊るためには、動作だけでなく、心を込めて踊らなければなりません。私たちはソエタイの意義について町のお婆さんが語ってくれた話を何度も聴いています」

イェンバイ省ギアロ町ギア・アン村に住むソエタイの芸人ディウ・ティ・シェン（Dieu Thi Sieng）さんはこの数十年にわたり、ソエタイを若い世代へ伝えるようと力を入れてきました。

シェンさんは古いソエタイのほか、日常生活でよく上演されるソエタイを若者たちに教えています。勤勉さとソエタイに対する愛情さえあれば、誰でもがソエタイを踊ることができます。

（テープ）

「先輩の教えによりソエタイを理解し、上演することができました。この踊りが忘れ去られないように若者たちに教えています。地元の学校の教師も、生徒たちがソエタイを学べるよう見守っています」

そのほか、近年、ギアロ町の学校では、ソエタイが教育カリキュラムに取り入れてきました。ギアロ町リトゥチョン中学校の教師フアム・テイ・タイン・ヒエンさんは次のように語りました。

（テープ）

「生徒たちは皆ソエタイが大好きですから、ソエタイの踊り方をすぐに覚えます。私たちはギアロ町のソエタイの芸人からの支援を受けています。彼らは生徒たちに教えるために多くの時間を割いています。学校のほとんどの生徒がソエタイを踊れるようになっています」

ギアロ町人民委員会のルオン・マイン・ハ副委員長は次のように語りました。

（テープ）

「ギアロ町は今後も学校でソエタイを教えます。そのほか、村々でソエタイクラブを結成し、タイ族の伝統的文化の維持、保存に努力します」

ギアロ町をはじめ、西北部山岳地帯に住むタイ族の人々はソエタイへの深い愛情に溢れています。この踊りが今後も維持、保存されることが期待されています。