ドンタップ省の♪「琴歌才子」♪の保存と発展に向けて

(VOVWORLD) - ドンタップ省では、この伝統民謡は多くの住民の精神生活において欠かせない存在となっています。

ベトナム南部の伝統民謡、「ドンカータイトゥー(Don ca tai tu)」が 2013年にユネスコ国連教育科学文化機関によって世界の無形文化遺産として認定されてから、南部各地でより活発になっています。その中で、ドンタップ省では、この伝統民謡は多くの住民の精神生活において欠かせない存在となっています。

ドンタップ省の♪「琴歌才子」♪の保存と発展に向けて - ảnh 1 カオライン市第2地区のドンカータイトゥークラブの演奏

ドンカータイトゥーは。元々、都フエの宮廷雅楽から派生したもののようです。19世紀の終わり頃にベトナム南部で広まり、南部を代表する民間芸能になりました。この民謡は南部文化のルーツにもなっていると言われています。生活に活気や潤いをもたらすそうです。ドンカータイトゥーを漢字で書くと「琴歌才子」、琴、歌、才能の才、子供の子、と書きます。琴に合わせて歌う才子という意味です。才子はベトナム語で、楽器も歌もできる人という意味になります。

ドンカータイトゥは一般の市民が集って、地べたに座って農作業の後などに演奏する場合が多く、プロの音楽家によるパフォーマンスというよりは一般の農民の娯楽として演奏され、人々の生活に密着していると言えます。南部の人達はドンカータイトゥーを歌う時、原曲の元歌を歌うのではなく、その時の気分で、替え歌にしてしまうのがこの民謡の特徴です。

ドンカータイトゥーには約20曲の基本的な原曲があり、喜びを表現する6つの曲、祭礼の時に演じられる7つの曲、喜びや楽しみを表現する3つの曲、寂しさ、別れを表わす4つの曲があります。その後、ドンカータイトゥーには楽士、芸術家により作曲された18の曲があります。

現在は、ベトナム南部で2000以上のドンカータイトゥーのグループが活動しており、メンバーの数は、およそ10万人に上ると推測されています。その中で、南部のドンタップ省には、約100のグループがあるそうです。

ホーチミン市から南西に約150キロ離れたところにあるドンタップ省は山がない平らな地層、多くの川と運河が走っているメコンデルタの典型的な地方です。また、ハス田の面積が170ヘクタールにものぼっているドンタップ省はベトナムのハス王国と呼ばれる最大のハスの産地でもあります。

こうしたドンタップ省は、ドンカータイトゥーが19世紀末に発生した後、この民謡の有名なアーチストの故郷として知られています。中でも、今年102歳となるグエン・ヴィン・バオ教授はドンカータイトゥーの最も人気のあるベテランアーチストであり、伝統音楽の一流研究者でもあります。

現在、ドンタップ省の省都カオライン市にはドンカータイトゥークラブが47カ所あり、その活動が活発になっています。その中で、カオライン市第2地区のドンカータイトゥークラブは毎月の15日と30日の夜、カオライン市の中央にあるハイバーチュン公園か第2地区のコミュニティ文化館で定期的に演奏をしています。

ドンタップ省の♪「琴歌才子」♪の保存と発展に向けて - ảnh 2 クラブの交流会

第2地区のドンカータイトゥークラブの担当者フィン・ティエン・チュンさんによりますと、15年前に設立されたこのクラブは、最初、数人のメンバーだけでしたが、現在は正式メンバー12人の他、数多くのファンがいます。メンバーとファンの寄付により、クラブは活動費用を心配することなく、定期的な演奏の他、交流会や子どもにドンカータイトゥーを教える教室などいろいろな活動を行えるようになったとしています。チュンさんの話です。

(テープ)

「クラブの活動は様々で楽しいです。そのため、青年同盟や女性連合会、労働組合の多くもクラブの活動に積極的に参加しています。クラブに参加するためには、ちょっと歌えることが必要ですが、ドンカータイトゥーが好きでクラブの活動に熱心に参加することが何よりです。」

ドンタップ省は、ドンカータイトゥークラブの活動に便宜を図るとともに、ドンカータイトゥーフェスティバルの開催や、古い歌の収集・編集などを進めるなど、この民謡の保存・発展に力を入れています。カオライン市文化・スポーツセンターのゴ・ホアン・ベト副所長は次のように語りました。

(テープ)         

「当センターはカオライン市人民委員会に対し、各クラブへの支援を強化するよう訴えています。現在、楽器が足りないクラブもあるからです。もし、当局の支援が不十分であれば、企業や組織に各クラブへの支援をするよう呼びかける計画もあります。」

一方、ドンカータイトゥーのベテラン歌い手にとって最も重要な課題は、若者にこの民謡への興味を芽生えさせることです。カオライン市第2地区のドンカータイトゥクラブの担当者フィン・ティエン・チュンさんは、良く歌える歌い手はほとんど中年なので、この民謡を保存・発展させるためには若手歌い手を育てることがとても重要であると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「これからも、若者を対象とする演奏会や交流会、勉強会などをよりたくさん行うようにしたいと思います。多くの若者が興味を持てば、ドンカータイトゥーは着実に維持・発展するでしょう。」

こうした取り組みにより、これからも、ドンカータイトゥーはドンタップ省ではなく、メコンデルタ全体にさらに広がって、伝統文化の保存に寄与してゆくと期待されています。

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