ベトナムでコロナ貧困支援の「コメATM」

(VOVWORLD) - 新型コロナの影響により収入が減少し苦境に立たされている貧困世帯を支援するため、全国各地で次々に設置されている「自動コメ配り機(コメATM)」が、国内外の世論を集めています。

長引いた戦争や自然災害によく襲われた経験を持つベトナムは、有事に被災者や貧困者を支援するという良き伝統を誇りにしています。新型コロナウイルス感染症による今回のパンデミックでは、収入が絶たれた人々を支援する取り組みが広がっており、その中で、新型コロナの影響により収入が減少し苦境に立たされている貧困世帯を支援するため、全国各地で次々に設置されている「自動コメ配り機(コメATM)」が、国内外の世論を集めています。

ベトナムでコロナ貧困支援の「コメATM」 - ảnh 1ハウザン省で設置されたコメATM 

ベトナムで確認された新型コロナウイルスの症例数は300例以下であり、世界の中では少数にとどまり、死者は出ていません。それでも政府は感染の拡大を防ぐための対策として商店や事業所を閉鎖させ、数千人が働けなくなりました。コメを無料で配るATMは、突然収入が断たれた人たちを支援する目的で、実業家などが国内の複数都市に設置しました。

ベトナム初のコメATMが設置されたのは4月6日のことです。場所はホーチミン市タンフー区ヴォンライ通りです。このコメATMを発想したのは、ホーチミン市に本部を置くスマートロックなどの製造販売会社の社長ホアン・アイン・トゥアンさん(35歳)です。トゥアンさんの話です。

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「新型コロナの影響で困難に直面している人に必需品などを無料で提供する支援者は多いですが、必需品などを提供するとき、短期間で大勢の人が集まって、できるだけたくさんの必需品を受け取るために、ケンカになってしまったこともあるくらいです。テクノロジー分野に従事する私は、技術を利用して、一人ずつに一定のコメを配る機械を作ったら、いいなあと思ってこのコメATMを作りました。」

トゥアンさんが開発したコメATMはこれまでに国内各地でおよそ40台が設置され、運営は自治体に委ねられてます。ホーチミン市タンフー区に設置された1号機は、これまでに40トンのコメが「引き出されました」。この機械はペダルを1回踏むとタンクからパイプを通じて3キロのコメが出てくる仕組みで、集まった人たちは機械の前に2メートル間隔で列を作り、順番にコメを受け取っていました。

そして、トゥアンさんはこれまでにもホーチミン市クチ県の仮設病院、カンゾー県病院、ホーチミン市パスツール研究所の検査室にカメラ付きインターホン数百台、公共サービス企業に手洗い洗剤数千本やマスクを寄贈しています。

ベトナムでコロナ貧困支援の「コメATM」 - ảnh 2ダラット市で設置されたコメATM 

コメATMは多くの地方で設置され、新型コロナの禍に巻き込まれている貧しい人々にとって大きな助けとなっています。ベトナム中部ラムドン省では、同省のベトナム祖国戦線やホアセングループがリンクアンという寺で設置したコメATMはこの1か月、約15トンのコメを配りました。リンクアン寺の住持ティック・ディン・トアン僧侶は、コメATMは多くの人々の支援を受け、うまく活動していると述べ、次のように話しました。

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「これは大したものではありませんが、困難な状態に陥っている人々にとって大きな支援です。また、この支援を通じて、彼らは人間同士の愛情の信頼を持てるようになるでしょう。そして、「誰一人取り残さない」という首相の指導に応えるものでもあります。これはコメATMの仁愛的な意義だと思います。」

リンクアン寺で設置されたコメATMからコメを受け取ったチャン・ティ・タムさんは次のように話しました。

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「私は毎日、街を回って宝くじを売っていましたが、この1か月、宝くじも休んだので、収入がありません。だから、疫病が広がっている現在、私のような貧しい人がこの支援を受けることができて、大変ありがたいと思います。」

一方、北部山岳地帯のラオカイ省では、ラオカイ短期大学と各報道機関が共同で作った移動式の「コメATM」は山の奥でもコメを無料で配っています。これまで、この移動式の「コメATM」は、少数民族を中心に、数百もの貧しい世帯にコメを配りました。

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「疫病のせいで出稼ぎに行くことができず、生活は大変ですよ。このコメATMのお陰で、コメを受け取れてうれしく思います。」

「我が家は5人いますが、10キロのコメを受け取りました。本当に助かりました。」

南部ハウザン省でも、「コメATM」が設置されたほか、他の必需品を貧しい人々に贈る運動が広がっています。ハウザン省ロンミ県ルオンタム村に住む80歳のマ・ティ・サウさんの話です。

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「毎日、食料を買うために、どうすればいいか寝られずいろいろ考えていまた。だから、コメを配ってくれて本当にうれしいですよ。」

ベトナム政府が社会的距離の確保措置を緩和させたことにより、日常生活が徐々に戻っていますが、「コメATM」を始め、貧しい人への支援活動はまだ続けれており、社会全体の関心を集めています。

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