(VOVWORLD) - 2018年から、12月12日は「ベトナムフォーの日」と制定されました。この日は、ベトナムの飲食文化を代表する麺料理「フォー(Pho)」を顕彰するとともに、世界にこの料理をアピールすることが狙いです。
ベトナムの代表的な麺料理「フォー」
ベトナムの伝統的料理の中で、コメを原料とする麺料理のフォーは最も人気があると言えるでしょう。大都市から農村部まで、豪華なレストランから路上にある屋台に至るまでフォーはどこでも食べられます。フォーはハノイを始め、ベトナム人の食文化の一部となってきました。
フォーはベトナム麺の代表格で、ベトナム北部が発祥と言われています。米粉の平たい麺で、やわらかいのが特徴です。コリアンダーや牛肉や鶏肉を具にして食べます。米粉を水で溶き、蒸し器の上にクレープ状に広げて蒸した生地を麺状に切って作ります。そのため、生産者の切り方によって平たいきし麺風だったり、日本のソバ風だったり、作り手によってまちまちです。
フォーは大きく分けて2種類あります。牛骨などから取った出汁をベースにしたスープに麺を入れ、牛肉を載せて食べるフォーボー(Phở bò)と、鶏がらベースのスープに麺を入れ、鶏肉を載せて食べるフォーガー(Phở gà)です。
ひとつのお店でフォーボーとフォーガーの両方を食べられる場合も時々ありますが、スープを2種類作るのは大変なので、多くのお店がどちらか一方だけを出しています。しかし、フォーボーはフォーガーより早く生まれたと言われています。研究者によりますと、フォーボーが初めて生まれたのは20世紀初頭で、後に、フォーガーが出てきました。
フォーのスープを作るため、牛骨の他、ヌックマム(魚醤)、スターアニス、シナモンスティック、ブラックカルダモンなどが必要です。美味しいフォーを作るため、最も重要なのは美味しいスープを調味しなければならないということです。それぞれのフォーの店は独自の秘訣をもっています。また、それぞれの顧客は自分の口に合うフォーの店を選んでいます。
こうしたフォーは世界各国に進出し、ベトナムの代表的な料理となっています。ベトナム料理について触れるならば、すぐ「フォー」を思い浮かべる外国人が多いからです。今年の「ベトナムフォーの日」にあたり、「人気あるフォーの店トップテン」の選出や、「フォー物語」というガラ、「私のフォー」という作文コンクールなど様々なイベントが行われました。
ハノイ市内のイオンモールで開催された「ベトナムフォーの日」イベント |
その中で、「フォー物語」というガラは、新型コロナの影響でハノイに駐在する各国の大使館や国際組織の代表しか招待できなかったものの、フォーに対する外国人の感想や考えを明らかにしました。100人以上の外国人が参加したこのガラでは、「フォーティン」や「フォーゴックヴォン」などフォーの有名な店6店舗が出店し、来場者に独特なフォーを提供しました。在ベトナム日本大使館の第1書記フルダテ・セイキさんは、このガラでフォーを5つ味わいました。フルダテさんは、「どれも美味しかった」と述べました。
一方、在ベトナムパレスチナ大使館のSaadi Salama大使は、「私はフォーのファンだ」と述べ、毎週フォーを食べないと、何とかもの足りない感じがすると明らかにしました。Saadi Salama大使は次のように語りました。
(テープ)
「40年前に初めてベトナムに来た時、フォーを始めて食べました。それ以来に、フォーに熱中して心を奪われてしまいました。「ベトナムフォーの日」の催しは、フォーを世界に紹介することに役立つとてもいい取り組みであると思います。フォーは多くの国で馴染みの言葉となっています。フォーは、世界に進出する時のフォーの「パスポート」になるようにしなければならないと思います。」
他方、ベトナム外務省のグエン・クオン・ズン次官は、「フォーは世界の人々にベトナムのことを理解してもらうことに役立っている」と述べ、次のように語りました。
(テープ)
「フォーは、外国へ赴くベトナム人の欠かせない「荷物」のようなもので、多くの国に進出しています。フォーは、国を離れたベトナム人と故郷とのつながりであり、世界の人々にベトナムの飲食文化を知ってもらうものでもあります。その意味で、フォーは、ベトナムと世界各国との相互理解の強化に貢献する草の根外交の大使となっていると言えるでしょう。」
フォーの料理人にとって、フォーがベトナムの代表的な食べ物として世界的にも知られていることは大きな誇りです。また、フォーが好きな外国人が増えていることから、フォーは国のイメージアップに貢献しているとしています。フォーの料理人グエン・ティン・タイン・グエンさんは次のように話しました。
(テープ)
「私にとって、フォーを作る職業は特別な職業です。これは、ベトナムならではの職業です。この職業は国内だけでなく、多くの国に広がっています。フォーの店が多くの国に開いているからです。これは私にとって何よりです。」
ベトナム人はどこに行っても、自国の豊富で独特な食文化を誇りに思っていますが、その中で、フォーは食文化の大使となっており、世界友人にベトナムの文化をピーアールすることに寄与しています。