ベトナムの伝統的料理の中で、麺料理のフォーは最も人気があると言えるでしょう。大都市から農村部まで、豪華なレストランから道端にある屋台に至るまでどこでもフォーが食べられます。フォーはハノイを始め、ベトナム人の食文化の一部となってきました。今日のこの時間はベトナムのフォーについてお伝えします。

（現場の音）

フォーはベトナム麺の代表で、ベトナム北部が発祥と言われています。米粉の平たい麺で、やわらかいのが特徴です。コリアンダーや牛肉、鶏肉を具に食べます。米粉を水で溶き、蒸し器の上にクレープ状に広げて蒸した生地を麺状に切って作ります。そのため、生産者の切り方によって幅広だったり、日本のそばと同じくらいの幅だったり、作り手によってまちまちです。

フォーはベトナム全国各地で売られますが、最も有名なのはハノイのフォーと言えます。ハノイでは多くの有名なフォーの店があります。例えば、バッダン通りのフォー屋さん、リー・コク・スー通りのフォー屋さん、ティンのフォー屋さんなどです。

これらのフォー屋さんはいずれも50年から70年前に営業が始まり、親の世代から子の世代に伝えられています。ハノイ市ディン・リェット通りにあるスオンというフォー屋さんの店主グェン・バン・クイさんは次のように語りました。

（テープ）

「父は1930年からフォーを売り始めており、現在まで、続いていますよ。スオンというフォーの店は我が家の独特な商標となってきました」

フォーは大きく分けて、牛骨などから取った出汁をベースにしたスープに麺を入れ、牛肉を載せて食べるフォーボー（Phở bò）と、鶏がらベースのスープに麺を入れ、鶏肉を載せて食べるフォーガー（Phở gà）の2種類があります。

ひとつのお店でフォーボーとフォーガーの両方を食べられる場合もありますが、スープを2種類作るのは大変なので、殆どのお店がどちらか一方だけを出しています。しかし、フォーボーはフォーガーより早く生まれたと言われています。研究者によりますと、フォーボーが初めて生まれたのは20世紀初頭で、後に、フォーガーが出てきました。

フォーのスープを作るため、牛骨の他、ヌックマム(魚醤)、スターアニス、シナモンスティック、ブラックカルダモン、草果などが必要です。美味しいフォーを作るため、最も重要なのは美味しいスープを調味しなければならないということです。それぞれのフォーの店は自らの秘訣をもっています。また、それぞれの顧客は自分の口に見合うフォーの店を選んでいます。

（男性）「この店のフォーは口に合い、他の店より美味しいと思います。」

（男性）「毎回、サイゴン（ホーチミン市）からハノイに行くと、かならず、この店に立ち寄って、フォーを食べます。長い歳月が経ちましたが、この店のフォーの美味しい味が昔のまま変わっていません。」

ベトナムではそれぞれの地方は特別な料理がありますが、ハノイは最も多くの美味しい料理がある地方として知られています。その中で、フォーは特別な料理です。ハノイの人々にとって、フォーはご飯のように毎日食べても飽きないと言えます。お金持ちから貧しい人々まで、誰もがフォーを食べられます。

ハノイのフォーを食べるのは独特な文化となったから、ハノイ以外に住んでいる多くの人々はハノイのフォーの店で顧客が注文してから、店の人ではなく、顧客が自分でフォーを持って、席に着く光景を驚きました。これに関して、ハノイの人ビン・クエンさんは次のように語りました。

（テープ）

「なぜ、ハノイの多くのフォーの店で、顧客が自分でフォーを持って、席に着くかは特別な理由があります。フォーを食べる文化は独特なものです。顧客はフォーの店に行く目的は単に美味しいフォーを食べるということから、店員のお世話を受けないで、自分でフォーを持って、席に着いても構わないのです」

CNNはアジアの１０の最も美味なストリートフードの一つとしてハノイのフォーを選びました。ハノイの特徴的な食べ物のリストにおいて、フォーは第１位にランクされました。
世界的な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」はハノイのフォーを世界で最も美味しい５００の食べ物の第２０位に選びました。

ベトナム人はどこに行っても、自国の豊富で独特な食文化を誇りに思っていますが、その中で、フォーは食文化の大使となっており、世界友人にベトナムの文化をピーアールすることに寄与しています。

以上、ベトナムの麺料理フォーについてお伝えしました。では、今日はこのへんで失礼します。