少数民族のお正月

(VOVWORLD) - ベトナムの旧正月テトが終わったばかりですが、多民族国家であるベトナムでは、多くの少数民族が独特なお正月を楽しんでいます。今日のこの時間は、少数民族のお正月についてご紹介します。

 ベトナム北部山岳地帯は、ムオン族やタイ族、テイ族、ザオ族などの少数民族の居住地なので、お正月を楽しむ様々な習慣があります。

少数民族のお正月 - ảnh 1ラフ族の女性たち 

北部ライチャウ省に居住している少数民族ラフ族は独特な暦を使っています。この暦は、十二支ではなく、十三支があります。ラフ族のお正月は、旧暦の12月の後半に行われますが、お正月を楽しむ日はそれぞれの家族次第です。その世帯主の年齢に良いとされる日にお正月を楽しむのが一般的ですが、世帯主の両親の命日にお正月を楽しんではいけません。ライチャウ省ムオンテ県タンビエン村に住むラフ族の一人ファン・フー・ロさんは次のように話しました。

(テープ)

「ラフ族のお正月は昔から伝わる伝説によるものです。数週間にわたってお正月を楽しむのは珍しくないです。例えば、今週にこの村でお正月を楽しみますが、翌週は隣の村へシフトして楽しむのです。ほかの村へお正月を楽しみに行くとき、贈り物を持っていきますが、帰るとき、その村の人たちから贈り物をもらうのです。これにより、各村の間の団結が強まるのですよ。」

ラフ族のお正月に欠かせない料理の一つは丸いハム型のバインチュンです。この料理を作った後、子どもたちに配る習慣があります。これは、新年にいつも食べ物が十分で、家族が豊かになるという希望が込められています。

北部山岳地帯に住む少数民族ザイ族は、旧正月テトを楽しみますが、テトに欠かせない料理はお餅です。ザイ族の人々の考えでは、お正月にあたり先祖にお供え物として奉納するお餅は先祖にその一年の生活を報告するとともに、健康、幸運、豊作などを祈るためのものです。

お正月によく食べられるザイ族の代表的なお餅は3種類ありますが、その中で、「グー」というのが一番大切なお餅です。「グー」は長さが20センチぐらいの棒形ですが、中央部分は両側の端より大きい。原料はもち米、緑豆、豚肉のスライス、塩、ショウガ科の多年草であるカルダモン(和名:小荳蒄(しょうずく))の種、および、「ゾン」というクズウコン科の緑の葉っぱです。作り方はもち米の中に緑豆の餡と中に豚肉が入っています。これを「ゾン」の葉っぱで巻いて、10時間ぐらいふかします。グーを綺麗な形にするには手際の良さが求められます。ラオカイ市タフォイ村に住むルック・ティ・ニンさんは次のように話しました。

(テープ)

「「グー」というお餅はテトに欠かせない料理です。綺麗なグーは先祖へのお供え物として使われます。一度祭壇に供えられるグーの数は7個で、2日経たないと下げてはいけません。」

少数民族のお正月 - ảnh 2「グー」を作っているニンさん 

一方、ベトナム中部に居住している少数民族も独特な正月習慣を誇りにしています。中部高原地帯テイグエン地方のコントゥム省に集中的に住んでいるジェチェン族のお正月は、ほうきを作るための材料として使われる「ドット」というイネ科植物が穂を出そうとする旧暦10月の下旬に行われます。

ジェチェン族のお正月は、「チャ・クチャ(Cha Kchah)」と呼ばれます。ジェチェン族の言葉では、「Cha」は「食べる」、「Kchah」は「炭」という意味です。お正月には炭を上に投げる儀式があります。多けれ多いほどの炭が身につけられる人はその年に幸運に会うと信じられることから、お正月がその呼び名になります。

他方、ベトナム南部メコンデルタ地域に居住している少数民族クメール族のお正月は4月の中旬に行われます。「チョルチョナムトメイ」と呼ばれるクメール正月の特徴は新年を迎える時間が毎年変わるということです。新年に突入する時間は天から新しい干支のテーヴァダー(女神)が到着する時刻だそうで、これは占い師によって決められます。

正月の元日は皆清潔さを求めます。朝は香りのある水で顔を洗い、夕方はシャワーを浴びて、そして、夜は足を洗うという習慣があります。

そして、大部分の住民が仏教を信じるクメール族ですから、お正月にお寺参りする習慣もあります。ソクチャン省にあるお寺の僧侶キム・トゥエさんは次のように話しました。

(テープ)

「お正月に、仏教徒らはお寺参りをして砂の山を建てる習慣があります。砂の山はお寺の塔を象徴するもので、新年に砂の山を建てることは、その年に多くの「福」を受けたいという意味です。」

社会が大きく変化している現在、各少数民族の正月習慣も多少変わっていますが、良き伝統を保ちながら、お正月を楽しめるための取り組みが浮き彫りとなっています。民間文化研究所のチャン・フ・ソン元所長は次のように語りました。

(テープ)

「各少数民族のお正月は、伝統的な習慣を保ちながらも、変化しているところもあります。お正月に多くの厳しいタブーがある民族は多いですが、これらのタブーを和らげる傾向があります。例えば、新年の最初のお客さんは女性であれば、だめだというタブーがありましたが、その家主が一回家の外に出てから、また家に入いなおすと、自分が初めてのお客さんになるので、その後誰でも訪れても大丈夫という例です。お正月は家族団らん、村人の団らんというチャンスなので、これは温かい雰囲気の中で、お正月を楽しめるための取り組みです。」

近年、各少数民族の生活がだんだん改善されていますが、お正月のよくない習慣をやめながら、良き伝統を保つことは際立っています。

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