神社は村を代表する建築物の一つとなっています。村の神社は守護神、つまり村の設立者であり、国に対して功労のあった人物を祀るところです。北部の平野部は依然として、多くの古い神社が集まる地域です。例えば、ハノイ市郊外バービ(Ba Vi)県の1531年に建立されたトゥイ・フェイウ(Thuy Phieu)神社、バックザン省ヒエップホア県のローハイン神社(1566年)、ハノイ市郊外のチュオンティン県のラー神社(1581年)などです。専門家によりますと、神社は立派で、美しければ村の地位が高くなるそうです。
民間文化研究者のレ・クアン・ゴックさんは次のように明らかにしています。
(テープ)
「私は色々な村へ足を運んだことがありますが、有名な村にある大きな神社は、村の中央、又は、村の広い敷地に建立されていることが分かりました。立派な神社は、普通の神社に比べ大きな柱と大広間があります。」
北部バクニン省のドンキー(Dong Ky)神社の建築は、北部平野部の村の建築を代表する神社の一つと見なされています。ドンキー神社は、もっぱら木造の神社です。屋根を支えているのは、リムの木でできている柱ですが、このリムの木は木食い虫でさえも食わないほど、頑丈なものなんです。ベトナムで価値ある建築物の主な資材として使われています。拝殿としての社殿と守護神を祀る本殿は一番広い所です。その屋根の四隅は優雅にカーブして反り上がり、目立っています。こうした形は、一般神社の建築の特徴となっています。
ドンキー(Dong Ky)神社
その一方で、神社の中に飾られていあるレリーフや対句、彫刻などは、村に因んだ物語りのようです。例えば、バクニン省にある17世紀に建立されたジエム神社です。この神社の本殿で際立つのは、龍、雲、花などの細かい彫刻です。あるいは、農民たちの日常生活を表現する彫刻も自然に施されていています。それぞれの彫刻は、王様の権威を示すものであったり、農民たちの豊作祈願を表しています。村の建築を研究しているディン・テェン・ハイ画家は次のように明らかにしました。
(テープ)
「これらの彫刻の作家は、農村部で長い間生活していた農民だったので、彫刻の内容は主に農業に関わるものです。このことは、昔の職人が、神社にある装飾彫刻作品に日常生活を上手く反映していることを示しています。」
神社は村の代表的な建築物であるのみならず、伝統的な芸術を表す所でもあると言えるでしょう。 長きにわたる戦争によって破壊された神社もあれば、正しくない保存と修復方法によって、本来の美しさが損なわれた神社もあるということです。それでも、ほとんどの村には神社があって、その村の象徴になっています。