UNCLOS 1982の遵守は、ベトナム東部海域での緊張緩和に貢献
(VOVWORLD) -セミナーは、ベトナム東部海域における緊張情勢の緩和に貢献するため、国際法、特に1982年国連海洋法条約に関する情報を提供することが狙いです。
セミナーの様子(TTXVN) |
去る5月26日、フランスの首都パリにあるフランス上院本部で、ベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)に関するセミナーが行われ、フランスの国際関係、軍事戦略、国防政策の研究者多数が参加しました。セミナーは、UNCLOS 1982=1982年国連海洋法条約をはじめ国際法を遵守することの重要性を再確認しました。
実行委員会によりますと、ベトナム東部海域は常に、潜在的な危険性を抱えており、現在の世界のホットスポットになりやすいところであるということです。そこで、各国、とりわけフランスは、この海域の役割や、重要性、危険性、課題を十分に認識する必要があると指摘しています。セミナーは、ベトナム東部海域における緊張情勢の緩和に貢献するため、国際法、特に1982年国連海洋法条約に関する情報を提供することが狙いです。
ベトナム東部海域における課題の特定
「ベトナム東部海域:グローバルな課題に直面する多次元空間」をテーマとしたこのセミナーでは、「1982年国連海洋法条約から見たインド太平洋空間」や、「ベトナム東部海域・安全保障の焦点」、「インド太平洋地域:気候変動による危機的要素」、「地域の多様な政治ステージとフランスの役割」について討論が行われました。セミナーで出された意見は、ベトナム東部海域で引き起こす可能性がある消極的な出来事を警告すると同時に、この海域における平和、安定、安全保障、および航行の自由を確保することの重要性、1982年国連海洋法条約を遵守すること、DOC=海上行動宣言を履行することの必要性などを強調しました。
さらに、参加者らは、フランス、EU=欧州連合、および世界各国に対し、ベトナム東部海域を巡る対立や紛争の解決に向けた役割を果たすと共に、多くの分野における協力枠組みを拡大するよう呼びかけました。
ベトナム東部海域の安定維持に向けた重要な法的基礎であるUNCLOS 1982の生誕は、新しい国際海洋秩序の形成に土台を築きました。というのは、この条約は、紛争解決のために、共通原則と詳細な内容を明確に規定しているからです。
1982年国連海洋法条約に基づき、国際海洋法裁判所は同条約の解釈・適用に関する紛争の司法的解決を任務にして設立されました。また、調停手続きと仲裁裁判による強制的な紛争解決メカニズムは初めて採択され、実際に適用されるようになりました。これらのメカニズムに従って、1982 年国連海洋法条約の遵守を確保すると同時に、当事国が海域を巡るあらゆる紛争を平和的に解決するための基盤を構築してきました。
1982年の国連海洋法条約の規定に基づき、締約国は国際海洋法裁判所、国際司法裁判所、条約附属書VIIとVIIIによって成立される仲裁裁判所のうちの一つ、又は、二つ以上の裁判所による紛争解決手続を受け入れる旨の宣言を行うことができます。実際、1982 年国連海洋法条約が発効されて以来、国際海洋法裁判所は漁獲や、海洋環境保護、海の境界画定などに関する約 30 件の紛争を解決してきました。その一方で、国際司法裁判所は約20件、仲裁裁判所は10件を取り扱いました。現時点で、 1982 年国連海洋法条約は、世界各国のあらゆる海上活動に対する唯一の法的枠組みとなっています。
ベトナム東部海域は地域諸国の共通の海域であるのみならず、世界各国の関心事でもあります。セミナーは、ベトナム東部海域の平和、安定、および持続可能な開発を明確にした上で、国際共同体に対し1982年国連海洋条約の遵守を再び呼びかけています。