世界中でサイバー攻撃がますます増加しており、毎年、数10億ドルの経済的損失を引き起こしています。ハイテク犯罪は企業がアカウントや管理システム、データを保護するために使用するパスワード特有の弱点を狙って攻撃を仕掛けます。パスワード認証は覚えにくく、管理コストが高く、盗まれやすいなどの弱点があります。こうした事情を踏まえ、各国の企業が安全で利便性が高く、コストが節約できる認証方式を模索してきたところ、数年前に、パスワードレス認証が必至の動向であると認められました。2012年、ファイド アライアンスが発足したことでこの動向の妥当性が立証されました。

2019年、ビングループのVINCSS＝ネットワークセキュリティ株式会社はパスワードレス認証を試験的に研究し、2020年にパスワードレス認証（いわゆる強力な認証）ソリューションの開発に踏み切りました。同年9月にVINCSSが開発した３つのパスワードレス認証製品にファイドアライアンスの証明書が発給され、同社はFIDOに正式に加盟しました。そして、去る7月13日、VINCSSは「VINCSS FIDO2エコシステム」をリリースしました。これは専用のソフトウェアやハードウェアを利用せずに、指紋認証や顔認証、虹彩認証といった「パスワードを使わない認証情報」をオンライン上でやり取りできるFIDO2の基準を満たす東南アジア初のエコシステムとなっています。VINCSSのド・ゴック・ズイ・チャック社長は次のように語りました。

（テープ）

「現時点で、私たちは弱い認証からどんな攻撃的な組織に対しても強い認証へと切り替えるために必要なエコシステムを完成しました。このシステムの設計、製造などはすべてベトナムで実施されました。これは「メイクinベトナム」プラットフォームであるといえます。国内外の市場にパスワードレスの認証製品を提供する意向があります。このシステムはすべてのシステムに互換性があり、作動できます」

「VINCSS FIDO2エコシステム」は2年にわたり研究、開発され、7つのソリューションが含まれていますが、その中の4つはファイド アライアンスにより、FIDO2の基準を満たすと認定されました。パスワードレスの認証により、セキュリティの強化やコストの節約、運用の最適化、ユーザーエクスペリエンスの向上などが図られます。 「VINCSS FIDO2エコシステム」は厳しい国際基準を満たすことから、多くの国際組織により愛用されています。VINCSS＝ネットワークセキュリティ株式会社は国内代理店5社のほか、日本代理店2社とシンガポール代理店1社を擁しており、アメリカ、オーストラリア、欧州代理店の設立を交渉中です。特筆すべきことは2020年、アメリカの多国籍ソフトウェア開発企業マイクロソフトは同社とアメリカに本拠地を置く認証デバイス提供会社ユビコをIDおよびアクセス管理の安全確保における5つのパートナーの中の2つに選び、顧客にVINCSSの認証製品の使用を勧めていることです。さきほどのVINCSSのド・ゴック・ズイ・チャック社長は次のように明らかにしました。

（テープ）

「私たちのソリューションにより、いかなるハッカーグループによるいかなるマルウェアの使用をもってしても認証プロセスに干渉できないことが確保されます。ですから、私たちのソリューションは強力な認証と認定されました」

情報通信省・情報セキュリティ局によりますと、ベトナムにおいて、パスワードレス認証は新たなコンセプトであり広く普及していないとしています。それにより、ベトナムは世界で最もサイバー攻撃の被害に遭った国の一つとなっています。2021年にはベトナムの3300あまりのウェブサイトがサイバー攻撃を受けました。こうした中、VINCSSがベトナム、および東南アジアで初となる強力な認証エコシステムの開発に成功したことは専門家や管理者に高く評されています。去る7月13日、「メイクinベトナム」のパスワードレス認証に関する懇談会で情報通信省のグエン・フイ・ズン次官は「このエコシステムのリリースはベトナムのデジタルトランスフォーメーション能力を示す」との見解を述べ、次のように語りました。

（テープ）

「VINCSSのパスワードレス認証エコシステムの公開は輝かしい節目となりました。これはベトナム企業が国際基準を満たすセキュリティ製品とサービスを研究、開発、製造する能力があることを立証します」

デジタルアプリやサービスの開発は国家デジタルトランスフォーメーション戦略の一環です。しかし、デジタルソリューションの機能とユーティリティの拡張にはサイバー攻撃のリスクの向上が伴います。こうした背景の中でパスワードレス認証技術は企業の発展に役立つだけでなく、デジタル政府、デジタル社会の構築にも適切に働くとしています。