(VOVWORLD) - 来る8月22日、フランス・パリの控訴裁判所は、ベトナム系フランス人のチャン・ト・ガ氏がモンサント社など14のアメリカ化学企業を相手取り、ベトナム戦争中にアメリカ軍が撒いた枯れ葉剤(ダイオキシン入り除草剤)の製造・販売責任を問う訴訟について判決を下します。この訴訟は世論の支持を得ており、ベトナム政府が長年取り組んできた枯れ葉剤被害者支援の努力を継承するものとなっています。
ベトナム戦争でのアメリカ軍の化学兵器使用は、その規模と期間の長さにおいて人類史上に例をみません。何百万人ものベトナム国民が深刻な後遺症に苦しみ、生活環境が破壊され、回復するには多大な時間と費用を要しています。
フランス・パリの控訴裁判所の前 |
人権擁護への取り組み
緑の党のサンドリーヌ・ルソー議員 |
5月7日の公聴会開催に先立ち、パリでは200人を超すベトナム系市民やフランス人らが、チャン・ト・ガ氏支持の運動を展開しました。国会議員や報道陣の参加もあり、フランス国内でこの問題への高い関心がうかがえました。緑の党のサンドリーヌ・ルソー議員は次のように訴えました。
(テープ)
「環境活動家として、私はチャン・ト・ガ氏を全面的に支持し、勝訴を望んでいます。正義の実現のみならず、政治的な勝利が得られ、被害の認定と補償、救済につながるよう、あらゆる力を注いで支援する所存です」
トム・タリウさん |
若者のトム・タリウさんも、何百万人もの枯れ葉剤被害者に思いをはせ、ガ氏への支持の必要性を強調しました。
(テープ)
「私は友人たちにこの問題を呼びかけています。彼らはベトナム戦争やナパーム弾のことは知っていても、枯れ葉剤のことはほとんど分かっていません。今でも多くの人が、その影響で癌や奇形に苦しんでいます。この訴訟を通じて、化学企業の姿勢を変えることができれば、それは重要な一歩となります」
チャン・ト・ガ氏 |
チャン・ト・ガ氏の正義追求は、ベトナムの枯れ葉剤被害者が長年アメリカ企業に対して行ってきた闘いと軌を一にし、生存権と幸福追求権といった基本的人権の擁護を求める国際的な流れに合致しています。被害者たちはこれらの基本的権利を奪われてきました。ベトナム人の多くが神経障害やマヒ、失明といった後遺症に苦しみ、子や孫は親や祖父母から受け継いだ枯れ葉剤被害のために障害を負っています。一方で、この惨禍の原因である当事者は人権保護と尊重の旗手を自称しています。
長年の被害者支援
数十年にわたり、ベトナムの党と国家は被害者の苦痛を和らげるため、特別な支援策を講じてきました。毎年10兆ベトナムドン(4億2000万ドル以上)を投じ、月次手当ての支給、健康管理、機能回復支援、被災地域の支援などを行っています。枯れ葉剤被害を受けた32万人以上の戦争従事者とその子孫が、革命功労者としての優遇措置の対象となっています。障害者世帯、その中には枯れ葉剤被害世帯も含まれますが、無料で医療保険と診療が受けられます。12のベトナム平和村や友好村には、主に奇形や障害児の被害者多数が収容されています。
2004年1月、ベトナム枯れ葉剤被害者協会も設立され、被害者の権利擁護や法的代理の役割を担っています。
ベトナムの枯れ葉剤被害者への正義の追求は、人間の基本的権利を守る闘いそのものです。困難と複雑さを伴うものの、この努力は決して止むことはないでしょう。