(VOVWORLD) - 既にお伝えしましたように、ハノイで開催中の第15期国会第6回会議では土地法改正案が審議・採択される見通しです。土地法の改正は、実際の需要を満たすように土地政策を刷新するというベトナムの決意を示しています。
制定されてからこの10年間、2013年土地法は土地の管理・使用作業に積極的な効果をもたらしてきましたが、国の国際社会への参入事業と第4次産業革命が迅速に進められている背景の中で、実際の要求に応えることができる新たな土地法が必要とされています。
今回の土地法改正案には、国防・安全保障・経済社会開発に関わるプロジェクトを行うための土地収用とその立ち退き・賠償、市場原理による土地価格の設定、土地に関わる財政政策、農業用土地の管理・使用に関する政策とメカニズム、少数民族の人々の住宅用地と生産用地の管理メカニズムなど多くの新しい点が盛り込まれています。
社会的コンセンサスづくり
今国会に上程される前に、この土地法改正案は数回にわたり、国会で討議されるほか、国民の意見が集約されました。特に、改正案は、「土地の管理・使用の効果と能力の向上、体制・政策の刷新・完備、ベトナムを高所得の先進国に発展させるための原動力づくり」に関する第13期党中央執行委員会の決議18号を具体化させるものです。
注目すべき点はこの改正案が少数民族の人々の住宅用地と生産用地の管理メカニズムや、少数民族の人々への土地引き渡しとその関連手続き、少数民族の人々への土地引き渡しにおける禁止行為なども具体的に定めていることです。レ・ミン・ガン天然資源環境次官は次のように明らかにしました。
(テープ)
「土地法改正案は、国家機関と組織が少数民族政策に使用される土地をその対象でない他者に引き渡すことや、その土地を転用することを厳禁します。2つ目はその政策の対象者がその借地権を売却することも禁止されます。3つ目は、その政策の対象者でない者や、少数民族出身の人々でない者がその土地の引き渡しを受けることも厳禁されます」
今回の土地法の改正には政治システム全体や、全国民が参加しています。これは社会的コンセンサスを作り出しています。これまで、この土地法改正案に1200万件以上の意見が寄せられてきたことは全社会の深い関心を示すとみられています。
土地政策を刷新する決意
全社会の注目を集めるもう一つの新たな点があります。「市場原理により土地価格を設定する」という規定です。これは土地政策を全面的に刷新・完備するというベトナムの決意を示しています。
クオン博士 写真提供:Quochoi.vn
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これに関し、国民経済大学の副学長を務めるホアン・バン・クオン博士は次のような見方を述べています。
(テープ)
「党中央執行委員会の決議第18号が切り開いた最も大きな突破口は行政手法による経済管理メカニズムを撤廃することです。土地法改正案に盛り込まれる『市場原理により土地価格を設定する』という規定はその典型的な証であるといえます。税制などにより、投機的土地取引や、土地使用者がもたらすものでない付加価値を抑制するようになります」
土地法改正案は、土地価格を設定する機関の任務、責任などを詳しく定めるとともに、土地取引活動の透明性と公開性の向上を目指し、土地価格の公開、土地取引を行う際の不動産取引所の利用、キャッシュレス決済と銀行振込決済などに関する規定を補充しています。
また、土地収用の目的・範囲・条件、税制と借地料を含む貧困者を対象とする優遇措置、農地転用への条件づくり、土地管理・使用におけるデジタルトランスフォーメーションと行政改革の促進、中央レベルから末端組織までの情報管理・共有なども盛り込んでいます。
土地は、国の建設発展事業の重要な財源であり、あらゆる経済社会活動および国民の利益と結びついています。そのため、土地法は実際の要求に応えるものでなければなりません。今回の土地法改正案が早期に採択・発効され、国家・国民・投資家の権利確保に貢献することが期待されています。