米製薬会社、ベトナムでの枯れ葉剤による被害に関わる責任を負うべき
(VOVWORLD) - ガ女史の訴訟は特別なものです。そして、彼女の戦いは、ベトナム人枯れ葉剤全員の戦いでもあります。今後も、この戦いは最終の勝利を目指していきます。
ドイツの新聞「Frankfurter Rundschau」はガ女史の訴訟に関する記事を掲載=Mạnh Hùng/TTXVN |
既にお伝えしましたように、フランス在留ベトナム人のチャン・ト・ガ(Tran To Nga)女史がベトナム戦争中にアメリカ軍がベトナムに散布した枯れ葉剤を提供したアメリカの化学製薬会社を相手取って起こした訴訟に関し、今年1月25日、フランス・エヴリー市の裁判所は初公判を開廷しましたが、5月10日、一審判決で、「管轄権がない」という理由で、訴えを却下しました。これを受け、国際世論はこの判決を不服とし、ガ女史を含めベトナム人枯れ葉剤被害者への支持と団結を表明しました。
(写真:Linh Hương/TTXVN) |
12日付のAFP通信によりますと、フランス・パリ郊外にあるエブリ(Evry)市の刑事法院は11日、ベトナム戦争時に米軍が使用した「エージェント・オレンジ(Agent Orange)」と呼ばれる有毒な枯葉剤(ダイオキシン)を製造・販売したアメリカの化学企業14社を相手に、79歳のベトナム系フランス人女性チャン・ト・ガさんが起こしていた訴訟を却下しました。この訴訟は、自身がエージェント・オレンジの被害者であると主張するガさんが、アメリカのダウ・ケミカル社(Dow Chemical)やモンサント社(Monsanto、現在はドイツのバイエル社(Bayer)が所有)など14社の化学企業を相手にしたものです。
ガさんはウィリアム・ブルドン(William Bourdon)弁護士らの助力を受けて2009年5月、パリの良心の国際裁判所(International Tribunal of Conscience)で、ベトナムの枯葉剤被害者のために証言しました。2013年にエブリ刑事法院に枯葉剤を製造したアメリカ企業26社を提訴し、2014年に19社に対する訴訟手続きが開始され、6年間の準備機関を経て、今年1月に正式な裁判が始まりました。ガさんは20代の頃にベトナムでジャーナリストや活動家として活躍していましたが、エージェント・オレンジの被害により2型糖尿病や、インスリンアレルギーなどの影響を受けているといいます。
(写真:TTXVN) |
ロイター通信などに対し、「訴訟は却下されたが、控訴する」と述べました。ガさんの弁護士の1人であるブルドン氏はツイッターで、「裁判所は裁判権免除原則の時代遅れの定義を適用しており、国際法、および、国内法の近代的原則に反する」とコメントしました。
こうした中、世論はガ女史を支持する声をあげています。ドイツ共産党は声明を出し、ガ女史を含め、ベトナム人枯れ葉剤被害者の訴訟を支持しています。声明は、「エヴリー市の裁判所の判決は、ベトナム戦争中にアメリカ軍がベトナムに散布した枯れ葉剤による深刻な被害に苦しむ数百万人の被害者を見捨て、彼らの気持ちを無視する」と批判しています。
また、ドイツの新聞「ユンゲ・ヴェルト(Junge Welt)」は記事を掲載し、「国際法から見れば、アメリカ軍が戦争中に枯れ葉剤をベトナムに散布したことは化学戦争といえるが、これまでも、アメリカ政府は責任と賠償を拒否している」と伝えています。
一方、スイスなどのマスメディアはガ女史の頑強不屈な精神を讃え、「79歳のこの女性は難病を抱えながらもおよそ400万人のベトナム人枯れ葉剤被害者の正義を求めて断固として戦っている」と伝えています。さらに、「枯れ葉剤・ダイオキシンがベトナムで引き起こした被害は忘れられないものである。人道に対する罪は厳罰の対象になり、関係者は責任を負うべきである」と強調しています。ベトナム枯れ葉剤被害者協会も声明を出し、「ガさんを資金と精神の面を含め全面的に支持・支援していく」と再確認しました。
ガ女史の訴訟は特別なものです。そして、彼女の戦いは、ベトナム人枯れ葉剤被害者全員の戦いでもあります。今後も、この戦いは最終の勝利を目指していきます。