(VOVWORLD) -先ごろ、ベトナム南部メコンデルタ地域で発生した塩害は、現地住民の農業生産や生活などに大きな被害をもたらしました。メコンデルタ地域における農業生産は、以前から同地域の重点経済分野として見なされています。
そこで、毎年のように発生する塩害に対応するための方策を講じる必要があると訴えられてきました。統計によりますと、南部メコンデルタ地域では、およそ7000ヘクタールの果樹園、8000ヘクタールの水産物養殖池が今年の塩害の影響を受けたということです。
農業農村開発省のグエン・スアン・クオン大臣によりますと、地域内の各地方が適用してきた対策としては、稲の栽培時期を変更することや、塩害に適応する植物の栽培、動物の飼育を行うなどです。その他、塩害の被害を最小限にするために、農業水利システムを建設することもありました。
(テープ)
「私たちは、早々に塩害による被害を予測した上で、その対策を適用してきました。それらは、農業水利システムを建設したり、例年より1カ月早く冬春期作の稲の栽培をしたりすることでした。」
専門機関の認定によりますと、今後、メコン川上流の影響で、干ばつや塩害などの状態が再発する恐れがあると言う事です。ですから、メコン川流域における農業生産分野は、塩害による被害に対応することでしょう。ベンチエ省人民委員会のカオ・バン・チョン委員長は次のように語りました。
(テープ)
「毎年の塩害に対応するためには、農業発展にそれぞれの地方のメリットを活用する必要があります。例えば、平野部では、ザボン、ドリアン、マンゴスチン、ランブータンなどの特産物の栽培に集中すると同時に、淡水魚類の養殖を行うことです。また、汽水域では、ココナツを初めとする果物の栽培をすると同時に、エビや漁の養殖をします。あるいは、沿海部では、エビ、貝類などを集中的に養殖することです。それぞれの地方において、生態地区を持続的に発展させることは正しい方向ですから、私たちはこの方向に沿って実現する方針です。」
塩害に対応するメロンの栽培 |
南部メコンデルタ地域では、塩害が発生するたびに、生活用水と生産活動向けの水は不足の状態にあります。カントー大学・気候変動研究所のレ・アン・トアン副所長によりますと、塩害が毎年のように発生し、複雑に推移することから、農業部門は塩害に長期的に適応する必要があります。また、農業用水の節約、雨水を塩害備蓄用水にすることも重要だとしています。
(テープ)
「雨季に、出来る限り雨水を沢山備蓄すればするほど良いと思います。というのは、雨水は生活用水、農業用水に用いられるからです。」
一方、水資源の持続可能な開発と気候変動適応センターのダオ・チョン・トウ博士は、「メコンデルタ地域における水資源の良好な管理は、塩害に対応できる主要な方策である。また、長期的には、現地の天候や水資源の変化に合わせて、塩害に強い果樹や樹木を集中的に栽培することも重要だ」と明らかにしました。
塩害への具体的な対応策を実現するためには、各地方の行政当局や関連各機関が政策や主張を良好に実現する必要があります。その一方で、農民たちは、農業生産状況に関わる情報を主体的に把握し、農業生産工程に先端技術を導入しなければならないと求められています。