ベトナム中部クアンナム省は「ゴックリン」と名付けられた朝鮮人参を栽培する地方の一つです。「ゴックリン」朝鮮人参は、特に貴重な薬草であり、クアンナム省とコントゥム省にあるゴックリン山の周辺だけで採れます。この「ゴックリン」朝鮮人参のブランドを保護するため、2016年8月に知的財産局がクアンナム省とコントゥム省に地理的表示登録証明書を発行しました。

クアンナム省では、「ゴックリン」朝鮮人参の木はナムチャーミー県で主に栽培されています。現在、ナムチャーミー県にある10の村の内の9つの村は「ゴックリン」朝鮮人参と他の薬草を栽培しています。

ナムチャーミー県人民委員会のチャン・ズイ・ズン委員長は次のように明らかにしました。

（テープ）

「地元の行政府は、住民に『ゴックリン』朝鮮人参の栽培を奨励するため、支援政策を講じています。現在、18社の企業が『ゴックリン』朝鮮人参の栽培を行っています。ある企業1社は『ゴックリン』朝鮮人参の加工工場の建設に資金を投資しています。将来的には、さらに多くの企業が『ゴックリン』朝鮮人参を材料にした薬剤、薬品、化粧品、飲料水の加工を誘致する方針です」

「ゴックリン」朝鮮人参は病気の治療に多くの効き目があり、健康増進に役立つ薬草であり、経済的に高い価値を持っています。ナムチャーミー県では、およそ1600世帯が「ゴックリン」朝鮮人参の栽培をしています。ある栽培業者は次のように語っています。

（テープ）

「『ゴックリン』朝鮮人参の木は植えてから収穫までに5年以上かかります。1㎏の人参は、およそ30本に当たり、約8500万ドン、52万円程度で販売されています。ゴックリン山で栽培される朝鮮人参は高品質のものです。さらに、長期間栽培されるものの方が貴重とされています。我が家は数千本の『ゴックリン』朝鮮人参の木を栽培しています。順調に栽培できた場合、約10億ドン、611万円の年収が得られますよ」

ベトナム政府は2023年6月に、2030年までのベトナムの朝鮮人参開発プログラム、2045年までのビジョンを承認しました。これに基づき、2030年までに、ベトナムは、野生の朝鮮人参遺伝資源の保存を森林の保護・開発、森林生態系の生物多様性の保全と組み合わせて行い、朝鮮人参の栽培面積を2万1000ヘクタールに増加し、すべての朝鮮人参栽培面積が登録生産園地番号と地理的表示登録証明書を付与されるように取り組んでいます。そして、2045年までに、ベトナムの朝鮮人参のブランドを国際的ブランドに発展させ、ベトナムが世界の主要な朝鮮人参生産国になるよう努力するというものです。このプログラムを実現するため、クアンナム省は、「ゴックリン」朝鮮人参の栽培、開発に科学技術の応用を推進し、「ゴックリン」朝鮮人参製品のPRを強化しています。

クアンナム省人民委員会のホー・クアン・ビュウ副委員長は次のように語っています。

（テープ）

「クアンナム省行政府は同省を中部高原地帯における製薬拠点に発展させる方針です。この方針は政府によって承認されています。住民が朝鮮人参の栽培、発展を行うと同時に森林と環境の保全に貢献するからです」

ナムチャーミー県は常時「ゴックリン」朝鮮人参に関わる見本市や定期市などを行っています。フィンサム有限会社のグエン・ティン・フィン社長は次のように明らかにしました。

（テープ）

「当社はたびたび朝鮮人参見本市に参加しました。わが社は2016年に設立されましたが、現在は5ヘクタールの朝鮮人参を栽培しています。『ゴックリン』朝鮮人参の栽培には、標高1800m～2000mの高い土地に植える必要があります。夏の暑い日々に、10日間から1カ月ごとに水をやりますが、雨季には水やりが必要はありません。『ゴックリン』朝鮮人参の根はお酒、または蜂蜜につけ込むほか、そのまま生で食べることもできます。葉は乾燥させた後、水に入れて、沸騰させてから飲み物にします」

クアンナム省は、『ゴックリン』朝鮮人参の保存と開発事業を進めています。これは、『ゴックリン』朝鮮人参を国家的ブランド作りとして発展させるとともに、外国でも『ゴックリン』朝鮮人参の知名度を高めることが狙いです。