(VOVWORLD) -ハノイの中心部から西へおよそ30キロの所に、ウオックレー村はあります。
ウオックレー(UocLe)村の出入口 |
ベトナムの伝統食品の一つであるジョーとチャーを生産する村として知られています。ジョーは、豚ひき肉を材料にするハムのことです。ジョールアとも呼ばれます。チャーは揚げハムのことで、見た目はさつま揚げに似ています。
ベトナムのフランスパンサンドイッチ |
ベトナムのフランスパンサンドイッチ、バインミーの具の定番です。蒸し春巻きのバインクオンと一緒に食べたりもします。スーパーなどに行くと、様々なメーカーのジョーやチャーが売られています。
蒸し春巻きのバインクオン |
しかし、ジョー・チャーと言えば、やはりウオックレー村なしには語れません。ウオックレー村のジョー・チャー生産は、およそ500年前から始まったそうです。
村に住むお年寄りの話です。
(テープ)
「ここに住む9割以上がジョー・チャー作りをしています。ベトナムだけでなくて、アメリカやフランスなどの外国でも、ジョーやチャーを作っているウオックレー村の出身者がいます。」
シナモンで味付けをしたチャークエ |
ウオックレー村では、いろいろな種類の食品を生産しています。豚肉ハムのジョールア、シナモンで味付けをした豚肉ハムのチャークエ、牛肉ハムのジョーボー、豚の耳とキクラゲを炒めて冷やし、テ
豚の耳とキクラゲを炒めて冷やし、 テリーヌのようにしたジョーサオ |
リーヌのようにしたジョーサオ、発酵ソーセージーのネムチュアなどです。この中でも、豚肉ハムのジョールアとシナモンハムのチャークエがよく知られています。
発酵ソーセージーのネムチュア |
ベトナム国内で他の生産地もありますが、ウオックレー村独自のおいしさの秘密があるようで、1番人気です。生産工程にも、工夫があります。例えば、ハムのジョールアは、屠殺直後の新鮮でやわらかい豚のモモ肉を使います。ひき肉作りは以前は手作業でしたが、今では機械化されています。しかし、機械で行うのはこの工程だけです。
バナナの葉っぱで円筒形に包まれたジョールア |
ジョールアの作り方ですが、ひき肉に調味料を加えて混ぜ合わせた後、それをバナナの葉っぱで円筒形に包みます。小さめの丸太のようになります。ひもを巻き付けて固く縛り、一時間ほど茹でると出来上がりです。
肉汁を溜める小さい穴がたくさんあいているジョールア |
ハノイ市内の市場にあるジョー・チャー店、店主の話です。
(テープ)
「美味しいジョーやチャーを作るためには、豚のモモ肉はふちの脂身と筋を全て除きます。肉は新鮮でなければだめです。昔は、手作業で豚肉を練っていましたが、今は機械でやっています。ニョックマムや砂糖、味の素、塩の量も大事です。出来のいいジョールアは、スライスするとその表面がつやつやしていて、肉汁を溜める小さい穴がたくさんあいているんです。」
揚げハムのチャー |
揚げハムのチャーの作り方は、ジョールアと少し違います。チャー職人の話です。
(テープ)
「チャーの場合、豚のモモ肉は一定の割合で脂身を加えて、ミンチの機械で細かくします。例えば、1キロのモモ肉には200グラムの脂身を加えます。調味料を入れて、よく混ぜてから、ステンレス製の長方形の容器に厚さ2センチほどに敷きます。その容器ごと蒸し器で、30分ほど蒸します。その後、薄い茶色になるまで油で揚げます。」
2003年、ウオックレー村の職人たちが、ベトナムで1番大きいチャークエを作りました。村の伝統的職業をたたえ、ウオックレーのジョー・チャーなどをPRするためです。
チャークエを炭火で焼く |
チャークエは、シナモンの粉末を入れて作る豚肉のハムです。ひき肉に調味料を入れて練ったものを、長さ50センチ、直径15センチほどのステンレス製の筒型の周りに、厚さ2センチほどに巻きます。
出来のいいチャークエ |
それを表面がきつね色になるまで炭火で焼いたものが、チャークエです。ベトナム最大のチャークエ作りに参加した職人の話です。
(テープ)
「ベトナムの新記録になったチャークエは、220キロを超えました。170キロのモモ肉と50キロの脂身、シナモンの粉末、調味料など、すごい量でした。ステンレス製の筒型は、長さが4メートル、直径は50センチにもなりました。」
ウオックレー村出身の職人たちは、ベトナム全土や海外で、この仕事を続けています。
村の祭りの日、旧暦の1月15日になると、毎年、その職人達が各地から戻って来て、先祖代々伝わるジョーやチャー作りに、改めて、感謝の気持ちを表すということです。