(VOVWORLD) -タントアン(Thanh Toàn)農具展示室は中部トア・テイエン・フエ(Thừa Thiên - Huế)省フエ市の中心地から東南に約8キロ離れた所にあるタントアン村に設置されています。この展示室は農具や漁具を通して、地元の生活と労働を再現しています。
現在、タントアン村に住む約3000世帯は主に稲作で生計を立てています。村の中心にあるタントアン農具展示室に展示されている約200点の現物や100点の写真などは、2014年末に建設され、地元の歴史や文化、住民の農作業、漁業、日常生活を紹介しています。
コミュニティツアーのガイドさんの話です。
(テープ)
「これらの展示物を通して、かつて、農民たちはとても粗末な農具で、脱穀、精米などを行っていたことが分かります。これらの農具は、現地住民の日常生活と緊密に結びついています。」
脱穀に使っていた臼 |
脱穀に使っていた臼や、陶磁器の食器、土鍋、竹製のベッド、天秤棒、漁具、農具などを通して、来場客は、昔のタントアン村における田舎の風景や住民の労働日常生活、農作業などを想像することが出来ます。
それぞれの展示コーナーには説明文があります。
例えば、昔の家族団らんで食事をする様子を紹介するコーナーでは、村人の高齢者が次のように書いてあります。「解放前のことですが、毎日、家族全員が食卓を囲んで、朝ごはんを過ごした。当時は、ご飯と少しの肉のおかず、または、漬物しかなかった。祖父母、両親、子供の3世代の同居家族だった。ご飯が少ないとき、その食事は祖父母と子供が優先された。現在は前より、食が豊かになった。昔は『空腹を満たす。暖かく着る』だけの生活から今は『美味しい食べ物、美しい服装』と考えるようになった。今日の若者は、家族と一緒に食事をすることが少なくなり、外食をする機会の方が好きになった。」ということです。
その他、中部の田舎ならではの諺などは、具体的な模型で説明されるコーナーもあります。例えば「3月のカエル、8月のニワトリ(ếch tháng ba, gà tháng tám)」という言葉遣いは、カエルを捕まえる道具とニワトリの模型で現わしています。
あるいは「ご飯と魚は、母と子供のようだ(cơm với cá như mạ với con)」は田舎風の台所模型で説明されています。
先ほどのコミュニティツアーのガイドさんの話です。
(テープ)
「ご飯と魚は、母と子供のようだという意味は、食事はご飯と子魚の煮込みという素朴なおかずだけでもとても美味しく食べられるということです。また、これは、子供に対する母親の感情を表すことでもあります。」
一方、農具の展示室の中には、結婚式や、伝統祭り、ボートレースなど地元の文化を紹介するコーナーもあります。また、伝統食である粽の「バインテト」作り体験や、ノンラーという菅笠作り体験など村の人々と触れ合うプログラムも体験することができます。
タントアン村人民委員会副委員長は次のように語っています。
(テープ)
「この展示室は、昔の村人の農具の保存と紹介を目的とされています。来場者は、全ての展示物を見ながら、ガイドさんの説明や話を聞いてから、それらの農具や漁具などがどのように使われた想像できるようになります。」
タントアン農具展示室は、フエ市における魅力的な観光スポットの一つとなっています。毎日、この場所は、延べ100人の国内外の来場客を迎えています。