ダシー村の門

昔はいくつかの違う名前で呼ばれていたようですが、18世紀半ばから現在までは、ダシー村と言われています。ダシーは直訳すると、博士が多いという意味です。博士とは、官吏登用試験の科挙の合格者の成績優秀者を指します。人口3千人未満のダシー村ですが、11人の村出身者が博士として、ハノイの文廟にある石碑に名前が刻まれているのです。ダシー村の鍛冶は12世紀頃に始まって、13世紀に入ってから発展したそうです。多少の変化はあるものの、今でも昔の職業村の姿を保っています。ダシー職業村協会副会長の話です。

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「現在、村の8割の世帯が鍛冶の仕事をしています。ほとんどの家の主要な仕事となっています。それぞれの家が、秘伝の技術を持っています。専門的な知識を持つ人が多く、優れた職人と言われる人はどんなものでも作ることができます。様々なオーダーに応えられます。そういった職人が20人ぐらいいます。」

ダシー村の鍛冶製品、例えば刃物は種類やデザインが豊富で丈夫だと評判です。そのため、ベトナム国内は勿論、ラオス、カンボジア、ドイツ、フランス、アメリカなどにも出荷されるようになっています。家が5世代にわたって鍛冶に従事しているというベテラン職人の話です。

（テープ）

「ダシー村の鍛冶の特徴は、鍛造、金属への圧力の加え方の方法とナイフの切刃（きりは）作りの技術です。これは長年の伝統ですから、他の人に教えてもできないでしょう。刃は数千作っても、どれも同じです。紙のように薄いです。仕上がりの製品が丈夫になるかどうかは、鍛造の圧力がポイントです。正しい方法で鍛造されれば、出来上がりは硬くて丈夫で鋭くなります。この方法は本などにも載っていません。代々伝わってきたものなんです。」

ダシー村では老若男女誰もが、鍛冶の仕事ができるそうですが、現在は人員の削減と生産効率を上げるため、機械を導入するところが多くなっています。ハノイ市人民委員会は、村の伝統的職業である鍛冶の保存と発展計画を作成しています。先ほどのダシー職業村協会副会長の話です。

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「ダシー村にある鍛冶工場を一か所に集めるため、工業施設を作りました。これによって、居住地における環境汚染が解消されると期待されています。他にも、毎年、鍛冶職人を対象に技能向上のための講座を開いています。」

鍛冶のダシー村は、ベトナム職業協会から、ベトナムの代表的な職業村の一つとして認められています。工業化が進む中、村の人たちは、先祖から受け継いだ伝統職業に日々精進しています。