(VOVWORLD) -首都ハノイから南へ約30キロ離れた所にあるトウオンティン(Thường Tín)県、トウバン(Từ Vân)村は刺繍の職だけではなく、ベトナムの旗を作る場所としてよく知られています。
トウバン村の出入門 |
村の高齢者の話によりますと、16世紀に、トウバン村は、刺繍と布織の製品で有名になりました。当時、多くの村人は、ハノイに刺繍製品の販売店を開きました。1945年8月の総蜂起を前にして、抗戦委員会は、国旗を作るためにトウバン村の人々を招きました。招かれた縫製職人たちは、祖国の旗を作るため、ハノイ市内ハンボン(Hàng Bông)通りにある旗の生産共同組合に雇われたということです。トウバン村の旗づくり職はその時から始まったと伝えられています。
ベトナムでは、独立記念日や、メーデーなど国の記念日、年中行事などになると各家庭では、「金星紅旗」と呼ばれる国旗が掲げられます。この村は、小さな卓上旗から大きな旗まで各種サイズを作っています。
トウバン村にある旗作り工場のオーナーは次のように明らかにしています。
(テープ)
「現在、我が村には、約10カ所の旗の生産工場が活動しています。旗は、新学期の始業式や、9月2日の独立記念日、メーデー、旧正月テトなどの年中行事や祝日によく使われます。かつて、旗作りは主に手作業で行われましたので、手間と時間がずいぶんかかりました。現在、では、全ての工程が機械されたため、楽です。」
旗作りの工程では、高い技術は求められませんが、職人の器用さと繊細さが求められています。旗作り職人の話です。
(テープ)
「旗作りの工程では、生地を選び、旗の大きさによって切り、三つ巻き縫いなどをします。そして、旗の中央に黄色い星を縫い付けます。私は、1日200~300本の旗を作ることができます。」
現在、トウバン村では、旗作りに従事する世帯は以前より少なくなっていますが、この職業の維持と発展は、安定した収入をもたらすだけでなく、愛国心と民族の誇りの現われとなっています。国の重要な出来事や、祝日にはトウバン村の村人から作られた旗が出現するからです。
先ほどの旗作り工場のオーナーの話です。
(テープ)
「我が家は、常に国家機関からの注文を受けていますよ。これまでに、私たちは、54平方メートルの旗を作ったことがあります。この旗はベトナムに共存している54民族のシンボルであり、ベトナム最北端ハザン省にあるルンクー(Lung Cu)旗の塔に掲げられています。」
トウバン村の旗は、ハノイ市内だけでなく、全国各地にも出荷されています。村人たちは、旗の縫い付けを通して、愛国心を示したいようです。