秋の味覚 コム

(VOVWORLD) -ベトナムで秋の味覚と言えば、若いもち米で作られたコムかもしれません。
秋の味覚 コム - ảnh 1     二重の葉で包まれるコム

コム生産で有名なのは、ハノイ郊外にあるボン村とそこから1キロほど離れたメーチー村です。今は、メーチー村の方がよりコム作りが盛んなようです。コムに使われるもち米は、固まる前の澱粉である白い汁が籾に付いている状態のものでなければなりません。もち米の種類もいろいろありますが、ネップ・カイ・ホア・バンで作られたコムがおいしいと言われています。黄色い花粉のもち米という意味のこの米は、ベトナム北部で旧暦の5月から10月頃まで栽培されています。粒が丸く、香りがいいのが特徴です。メーチー村にあるコム生産工場社長の話です。

(テープ)

「コム作りの原材料は、主に若いもち米のネップ・カイ・ホア・バンです。ホン河デルタ地方のバクニン省や北部のバクザン省などで収穫されたものです。メーチー村のコムは、つくと薄くなって、いい香りと粘りのある食感が楽しめます。見た目も食用の青い色素を全く使わずにコメそのものの青色を生かしています。」

秋の味覚 コム - ảnh 2     もち米の青い稲穂

別の生産工場を営む女性が、コムの作り方について話します。

(テープ)

「もち米の青い稲穂を脱穀してから、取れたコムをフライパンで炒ります。噛んで柔らかく、香りが出るようになるまで炒ります。それをすり鉢に入れて砕き、籾殻を除きます。これを大きなザルに入れて、籾のかすが外へ飛んでいくよう、手であおぎます。そうすると、コムだけが残ります。100キロの稲穂から、15キロから18キロのコムができます。美味しいコムは、粒が柔らかく、ねばねばして良い香りがします。」

旬の時期には、特に市場でコムの店が多くなります。店では、コムを二重の葉で包み、青い稲穂をひもにして十字に縛り、持ち帰り用にしてくれます。二重の葉ですが、外の部分に使うのは新鮮なハスの葉で、内側はサトイモ科のインドクワズイモの葉が使われます。こうすることによって、コムの鮮度を保ち、新鮮なハスの葉とコムの香りで更にいい香りが出ます。コムの調理法はいくつかあります。できたばかりの新鮮なコムをシンプルにそのまま食べるのは、一番美味しいと言われています。いわゆる生のコムは、製造後1日から2日以内が賞味期限ですが、これを長持ちさせるためにフライパンで再度炒って、乾燥コムにするという方法もあります。乾燥コムだと、6か月もちます。生でも乾燥コムでも、砂糖と一緒に炒めるコムサオというお菓子やおこわにしたりします。豚挽き肉と混ぜて揚げる、などの料理もあります。メーチー村のコムはベトナム国内はもちろん、外国にも出荷されています。また別の、コムを作る工場社長の話です。

(テープ)

「メーチー村には、大規模な生産工場が多くあります。うちは、生のものと乾燥コムを作っていますが、日本やイギリス、フランス、アメリカなどに輸出しています。」

昨年5月にベトナムを訪れたアメリカのオバマ前大統領は、メーチー村でコムの生産業者と語らい、コムを購入しました。メーチー村のコムはこの村の特産品というより、ハノイの秋を代表するものとなっています。

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