稲の栽培とエビの養殖の複合経営がもたらす豊かな生活
(VOVWORLD) -ベトナム最南端カマウ省では、安全な農産物の生産と気候変動適応を目指して、エビの養殖池で稲の栽培をする複合経営が広く普及しています。
同省全体には約4万ヘクタールにおよぶ稲の栽培とエビの養殖を組み合わせた複合経営の土地があり、トイビン県、チャンバントイ県、ウーミン県、カイヌオック県、カマウ市に集中しています。近年、農民は新しい技術の導入、高品質な稲の栽培、経済的価値の高いエビの養殖などで、高収入を得ています。
およそ2ヘクタールの土地で複合経営を行っているグエン・ティ・マンさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「天気が良く、雨が多かったため、淡水がいっぱいでした。そのお陰で、稲もエビも豊作でしたよ」
ウーミン県における稲の栽培とエビの養殖の複合経営は2020年から発展してきました。現在、同県には3000ヘクタール余りの複合経営向けの土地があります。複合経営の利点は、稲作には化学肥料や農薬を全く使用せず、エビは自然な環境で元気に成長し、病気への耐性も強く、身が柔らかく甘みが強いということです。これにより、エビ、稲は、高い価格で販売されるようになっています。
近年、持続可能な生産に繋がる技術の導入により、経済的に高い効果を遂げています。カイヌオック県タンフー村の農業水産サービス共同組合のマイ・バン・コック会長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「私たちは、農民に移植栽培の稲の手入れ方法などを教えています。また、塩分濃度が高い乾季には車エビを養殖しますが、雨季には稲を栽培しながら、車エビのほか、オニテナガエビを養殖します。こうした方法は、経済的に高い効果をもたらします」
水田でのエビの収穫 |
他方、チャンバントイ県リーリュック村は、稲の栽培とエビの養殖の複合経営が最も効果的に行われている地方の一つとなっています。2022年10月末、チーリュック協同組合の500ヘクタール余りの稲の栽培とエビの養殖は、グローバルな認証機関である「コントロールユニオン(Control Union)」から、自然環境と社会・労働問題に配慮した養殖を認証するASC 養殖場基準を取得しました。この認証を受けた稲とエビは、厳しい基準を設定する世界各国に輸出することが出来ます。
カマウ省農業農村開発局のチャウ・コン・バン副局長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「2025年までにカマウ省は、稲の栽培とエビの養殖の複合経営の土地の少なくとも2割においてEUオーガニック認証、ASC 養殖場認証などの国際基準の取得を目指しています。また、2030年までに、農業部門はすべての稲の栽培とエビの養殖の複合経営の土地が国際基準を取得する方針です。このことは稲とエビの価値を高めることが狙いです」
カマウ省の多くの住民は、稲の栽培とエビの養殖を組み合わせた複合経営モデルを開発したことにより、豊かな生活を送れるようになっています。