村にある鍵の修理屋＝thanhnien.vn

以前、この村は、道路沿い、市場とホン河の船着場の傍に位置されたため、一時的に売買活動が賑やかな場所でした。19世紀末に、トウオンチュック村の村人は鍵修理という職業を身に付けてから、この仕事で生計を立てました。

トウオンチュック村にある神社では鍵修理の創始者を祀るコーナーが設けられています。先祖代々から伝われたこの職業に従事した多くの村人は、優れた鍵師になっています。

以前、トウオンチュック村の鍵の出張修理業者たちは、鍵のトラブルに対応する為、木製工具ケースを持参して、ハノイ市内の至る所を歩きながら、客引きに「Khóa ơ！(鍵修理の意味)」という音声でかけました。現在でも、ハノイ市民の多くの高齢者は、その懐かしい客引き声を覚えています。

しかし今日、都市化の進行により、トウオンチュック村は、道路がアスファルト化され、両側には近代的な高層建物が増えつつありますが、その中の幾つかは鍵の修理屋です。

（鍵の修理の音）

数十年も鍵の修理に従事している鍵師の話によりますと、鍵の修理は、大変な仕事ではありません。鍵師としての技術はもちろんですが、お客さまとのコミュニケーション力、また精神力や集中力が求められる仕事です。

ミーさん(左) ＝thanhnien.vn

ハノイ市内にある鍵修理屋さんの一人であるリュウ・ドク・ミーさんは、元々トウオンチュック村の出身であり、優れた鍵師として知られています。

ミーさんは、幼い頃から、鍵の出張修理業者であるお父さんと一緒に、ハノイ市内のあちこちを歩きました。彼は、父方の祖父と父親から基礎を学んだ他、トウオンチュック村のプロの鍵師の下で修業を積んだお陰で、鍵屋に就職することができました。

鍵の修理という職業に従事している間、ミーさんは、貿易大学マーケティング学部入学を定めました。卒業後のミーさんは、新しい時代に見合った仕事を選ぶだろうと誰もが思っていました。しかし、彼は、家族の伝統的な職業である鍵の修理を再開することにしました。

自分の決定について、ミーさんは次のように語っています。

(テープ)

「長年にわたって、鍵の修理をしたからです。実際、大学の在学期間中に、この伝統的職業に、大学で学んだ知識を活用したいと考えました。ある人から『どうして車、バイクの修理屋さんをしないか？』と聞かれましたが、どの職業でも社会の役に立つと私は思っています。」

現在、ミーさんは、カギのサービス、鍵の交換・取付など、鍵と錠前に関するサービスを提供する会社を開設し、北部、中部、南部に支店を設置しています。彼は、各種の車や、バイク、そして最新の錠前などを開けることができるため、鍵あけに優れた鍵師としてで知られています。ミーさんは「24時間内に、いかなる鍵の開錠のテクニックを探すことができる」と明らかにし、次のように語っています。

(テープ)

「現在、磁気カードや電子ロック、電気ロック、デジタルロックなど様々なスマートキーが流行っています。しかし、私にとって、鍵のトラブルに対応できないのは、開錠出来る方法がまだよく解っていない時だけです。」

トウオンチュック村の高齢者によりますと、これまでに、鍵師を育成する学校やスクールは一ヶ所もなかったので、一人前の鍵師になる為に、職人修行が必要である傍ら、本人は自分自身で真面目に練習しなければならないということです。